令月とこいつの間で、何があったのか。
本人達の口から聞いた訳ではないが、大体のところは検討がついている。
あの二人の間で、決着がつく前に俺達があの森の奥に辿り着けたのは、正に間一髪だった。
大変だったんだぞ。
事の始まりは、まず今朝、ナジュの元ルームメイトだった生徒からの報告だ。
ユイト・ランドルフという、この春から二年生になった生徒。
現在は、令月のルームメイトだが。
昨年は、ナジュのルームメイトだった少年である。
癖のある生徒ばかりと同室にさせて、ユイトには申し訳ないが。
そんな彼が、今朝、自分の授業を受ける前に、ナジュのもとに駆けつけた。
ナジュは、お得意の読心魔法で、ユイトから「令月の様子がおかしかった」と読み取り。
これは非常時と判断し、授業を切り上げて学院長室に飛び込んできた。
そして学生寮を訪ねてみると、そこはもぬけの殻。
おかしいと思ったんだよ。
あの、生活習慣がロボット並みに模範的な令月が、体調を崩すはずがない。
おまけに見てみれば、令月の部屋は三階にあるにも関わらず、窓が開いて、そこが開けっ放しになっていた。
これは間違いなく脱走だと判断。
学院の敷地内に、無数に散りばめられたシルナの昆虫分身達の目は、完全に節穴だった訳だ。
今度見つけたら、デコピンしてやろう。
それ以上に腹が立ったのは、令月が約束を破ったことである。
一人で背負うな、と言ったのに。
あいつは、約束した傍から、早速約束すっぽかして、一人で出ていったのだ。
約束守れないタイプだ。あいつは。
イレースに脳天雷落とししてもらうこと、確定。
とにかく、抜け出した令月の居場所を探らなければならない。
これはもう形振り構ってはいられないと、即時聖魔騎士団魔導部隊に連絡。
探索魔法専門魔導師のエリュティアに、緊急要請。
すぐに、令月が部屋に残した『痕跡』から、居場所を探ってもらった。
で、見つけたのが森の奥。
イレースに学院のことを任せ、俺とシルナと、怪我をしているかもしれないということで天音と、厄介だけど敵相手には何かと役に立つ、読心魔法使いのナジュを連れ。
四人で森の奥に向かうと。
今まさに、令月がこの少年に、とどめを刺そうとしているところだった。
何となく事情は察したが、令月にこれ以上、人殺しをさせたくはなかった。
俺は咄嗟に時を止め、二人を引き剥がし。
シルナと天音両名で、それぞれに回復魔法をかけ。
生きるか死ぬかの令月は、学院の医務室で、天音に預け。
令月に比べれば軽傷だったこの少年は、こうして目の前に引き立てられ…いや座ってるけど…とにかく、いる。
そして。
「楽しい楽しい尋問のお時間ですね~」
何故か超嬉しそうに、ナジュが学院長室に入ってきた。
…何が楽しいんだ。この野郎。
本人達の口から聞いた訳ではないが、大体のところは検討がついている。
あの二人の間で、決着がつく前に俺達があの森の奥に辿り着けたのは、正に間一髪だった。
大変だったんだぞ。
事の始まりは、まず今朝、ナジュの元ルームメイトだった生徒からの報告だ。
ユイト・ランドルフという、この春から二年生になった生徒。
現在は、令月のルームメイトだが。
昨年は、ナジュのルームメイトだった少年である。
癖のある生徒ばかりと同室にさせて、ユイトには申し訳ないが。
そんな彼が、今朝、自分の授業を受ける前に、ナジュのもとに駆けつけた。
ナジュは、お得意の読心魔法で、ユイトから「令月の様子がおかしかった」と読み取り。
これは非常時と判断し、授業を切り上げて学院長室に飛び込んできた。
そして学生寮を訪ねてみると、そこはもぬけの殻。
おかしいと思ったんだよ。
あの、生活習慣がロボット並みに模範的な令月が、体調を崩すはずがない。
おまけに見てみれば、令月の部屋は三階にあるにも関わらず、窓が開いて、そこが開けっ放しになっていた。
これは間違いなく脱走だと判断。
学院の敷地内に、無数に散りばめられたシルナの昆虫分身達の目は、完全に節穴だった訳だ。
今度見つけたら、デコピンしてやろう。
それ以上に腹が立ったのは、令月が約束を破ったことである。
一人で背負うな、と言ったのに。
あいつは、約束した傍から、早速約束すっぽかして、一人で出ていったのだ。
約束守れないタイプだ。あいつは。
イレースに脳天雷落とししてもらうこと、確定。
とにかく、抜け出した令月の居場所を探らなければならない。
これはもう形振り構ってはいられないと、即時聖魔騎士団魔導部隊に連絡。
探索魔法専門魔導師のエリュティアに、緊急要請。
すぐに、令月が部屋に残した『痕跡』から、居場所を探ってもらった。
で、見つけたのが森の奥。
イレースに学院のことを任せ、俺とシルナと、怪我をしているかもしれないということで天音と、厄介だけど敵相手には何かと役に立つ、読心魔法使いのナジュを連れ。
四人で森の奥に向かうと。
今まさに、令月がこの少年に、とどめを刺そうとしているところだった。
何となく事情は察したが、令月にこれ以上、人殺しをさせたくはなかった。
俺は咄嗟に時を止め、二人を引き剥がし。
シルナと天音両名で、それぞれに回復魔法をかけ。
生きるか死ぬかの令月は、学院の医務室で、天音に預け。
令月に比べれば軽傷だったこの少年は、こうして目の前に引き立てられ…いや座ってるけど…とにかく、いる。
そして。
「楽しい楽しい尋問のお時間ですね~」
何故か超嬉しそうに、ナジュが学院長室に入ってきた。
…何が楽しいんだ。この野郎。


