神殺しのクロノスタシス3

「あーっ!キュレム君ルイーシュ君〜!よく来てくれたね!アイスココア如何?」 

「ココアより、アイスティーの方が良いです」

「分かった!準備してくるね〜」   
 
飼い主に命じられたワンコのように、飲み物を用意しにいくシルナである。

で、キュレムは。

「お前な…少しは遠慮しろよ」

「何でですか?今日は俺達から来たんじゃなくて、わざわざ呼び出されたのを来てあげたんだから、存分にもてなしてもらっても、バチは当たらないでしょう」  

正論ではある。

今日は、俺の方から二人を呼んだ。

「忙しい中悪いんだか、ちょっと時間を見つけてこっちに来られないか」と。

そして、今日来てくれた。 
  
どうもご苦労様。 
 
「はいはい、飲み物用意したよ〜。あとケーキも!好きなのどーぞ」

「どうも。じゃあ学院長が一番好きな、チョコレートケーキを頂きま〜す」

「あぁっ!私が密かに楽しみにしてたチョコケーキを!」

ルイーシュ、一切の容赦なし。
 
「お前は最低だな…」

ポツリと呟いていたが、まぁ、ルイーシュは昔からこんな奴だから。

それでも実力は確かだから、憎めない。 
 
「それにしても、今日はよく来てくれたね〜。前回私達が魔導部隊の隊舎を訪ねたときは、二人共いなかったもんね」

そういえば、そうだっけな。

他の大隊長達にはほとんど会えたが、キュレムとルイーシュには会えなかった。

「任務で駆り出されてたんでね…」

と、溜め息混じりのキュレム。

本当お疲れ様。

「コイツ、任務中すーぐどっか行こうとすんの。そもそも任務があるって分かってて、平気で寝坊と遅刻を繰り返すし。毎度毎度、動きたくなーいとか言ってるルイーシュのケツを蹴っ飛ばしてるの、俺だよ?分かる?この苦しみ。こんな奴が相棒なの。マジつれぇわ」

「そうか…。そうだな、相棒が自堕落だと、苦労するよな。分かるよ…」

「…羽久?それはもしかして…私のことじゃないよね?」

他に誰がいるんだ?

すると、ちゃっかりチョコレートケーキを食べ終えたルイーシュが、足を組んで言った。

「それで?俺は今日、超忙しい中、真面目に招集に応じた訳ですが」

「嘘つけ。予定なんかなかった癖に、案の定遅刻してきただろ」

「一体何の用事なんですか?」

キュレムが横から口を挟んだが、完全スルー。

そうか、案の定遅刻してきたか。

それを無理矢理、キュレムが引っ張って連れてきたんだな。

いつも本当にご苦労様。

で、用事な。

「実は、頼みたいことがあるんだが」

ルイーシュのことだから、「えーやだ」とか言うんだろうな。

…と、思ったが。

「そうですか。良いですよ」

「えっ」

何故か、快諾されてしまった。

絶対断られると思ったから、説得には時間がかかると覚悟していたのだが。

そんなあっさり承諾されるとは。

ルイーシュ、お前も少しは真面目に…、

「どんな用事でも、『キュレムさんが』ズバッと解決してあげますから。何の心配も要りませんよ」

「おい。何で俺限定なんだよ自分も動け!」

「…」

…そういうことね。

ルイーシュは、やっぱりルイーシュだった。

自分は動かないが、キュレムが動くと。

成程こんなのが相棒じゃ、そりゃ苦労もするよ。

「残念だが、これはキュレムとルイーシュ二人じゃないと、頼めないことなんだ」

「…」

「だから、ルイーシュも協力してくれ」

「…」

俺が頼むと、ルイーシュは無言だったが。

超、物凄く嫌そうな顔で答えてくれた。

その顔を見れば分かる。

嫌なんだな。分かった。うん。

そうだろうと思ってたよ。