そこからは、一瞬の出来事だった。
すぐりは、張り巡らせていた糸の全てを、瞬時に動かし。
一本の縄状にしたかと思うと、その縄を令月の背中に向けて、思いっきり叩き付けた。
あまりの勢いに、令月は床に水天直下。
気づいたときには、令月は床にひれ伏し、その背中にすぐりが足を置いていた。
…。
あまりの早業に、目が追いつかなかった。
ただ、分かったことは。
「試合終了。勝者、花曇すぐり」
イレースが、無情にそう告げた。
俺達に分かったことは。
勝ったのはすぐりで、負けたのが令月だということだけだ。
…速過ぎて、何が起きたのか、正確に把握出来てないが…。
…すぐりの、勝ちなんだよな?
やっぱり、二人の実力は拮抗して…。
「…違いますよ」
「え?」
彼らの試合を見ていたナジュが、ポツリと呟いた。
違うって…何が、
と思ったら。
「ふんっ」
「痛い」
「あ、こらお前ら!」
試合は終わったのに、すぐりは令月の背中に乗せた足を退かさず。
それどころか、より強く踏みにじった。
試合終了だっての。イレースの言葉、ちゃんと聞いてたか?
「こらこら、やめなさいすぐり君。勝ったんだから良かったじゃない。強かったよ」
シルナがそう言って、すぐりを宥めた。
確かに強かった。文句なく強かった。
俺だって、お前とは勝負したくないよ。
まず足場が怖くて、一歩も動けない。
それなのに。
「こんなので勝ったって、何にも嬉しくない。馬鹿みたい」
え?
「もう終わったからいーよね?俺は畑に帰る」
…畑に帰るってお前…。
すぐりはようやく、令月の背中から足を退け。
そのまま、スタスタと稽古場を立ち去った。
…すぐり…?
「一体どうなってるんだ…?」
負けたのなら、悔しくてあんな態度になるのもおかしくないが。
何で、勝者のはずのすぐりが、へそを曲げているんだ?
「令月、大丈夫か?」
床に這いつくばる令月に、手を差し伸べる。
「うん」
「背中突き飛ばされてたけど、痛くないか」
「ちょっと痛い」
やっぱり。
「えっ、怪我したの令月君。見せてごらん、私が治すから」
と、シルナ。
制服を捲ってみると、令月の背中は赤く腫れていた。
あの馬鹿。やり過ぎだろ。
「あわわわ、痛かったね、大丈夫大丈夫。すぐ治すからね」
シルナが、慌てて回復魔法をかける。
すると、背中の腫れはみるみるうちに引いた。
良かった。
「あの馬鹿…。怪我させるなんて」
「別に大したことないよ」
令月が大したことなくても、俺達にとっては大したことなんだよ。
それに、すぐりのあの態度。
「あいつ、めちゃくちゃ不機嫌だったけど…。どうしたんだ?」
「…さぁ…分かんない…」
令月にも、よく分からないらしい。
令月に分からないなら、俺達に分かるはずが…。
「それが分かるんですよね〜、天才イケメン教師の僕には」
「…読心ハレンチ教師の間違いだろ」
…で?
その自称イケメン教師は、すぐりの不機嫌の理由が分かるのか?
すぐりは、張り巡らせていた糸の全てを、瞬時に動かし。
一本の縄状にしたかと思うと、その縄を令月の背中に向けて、思いっきり叩き付けた。
あまりの勢いに、令月は床に水天直下。
気づいたときには、令月は床にひれ伏し、その背中にすぐりが足を置いていた。
…。
あまりの早業に、目が追いつかなかった。
ただ、分かったことは。
「試合終了。勝者、花曇すぐり」
イレースが、無情にそう告げた。
俺達に分かったことは。
勝ったのはすぐりで、負けたのが令月だということだけだ。
…速過ぎて、何が起きたのか、正確に把握出来てないが…。
…すぐりの、勝ちなんだよな?
やっぱり、二人の実力は拮抗して…。
「…違いますよ」
「え?」
彼らの試合を見ていたナジュが、ポツリと呟いた。
違うって…何が、
と思ったら。
「ふんっ」
「痛い」
「あ、こらお前ら!」
試合は終わったのに、すぐりは令月の背中に乗せた足を退かさず。
それどころか、より強く踏みにじった。
試合終了だっての。イレースの言葉、ちゃんと聞いてたか?
「こらこら、やめなさいすぐり君。勝ったんだから良かったじゃない。強かったよ」
シルナがそう言って、すぐりを宥めた。
確かに強かった。文句なく強かった。
俺だって、お前とは勝負したくないよ。
まず足場が怖くて、一歩も動けない。
それなのに。
「こんなので勝ったって、何にも嬉しくない。馬鹿みたい」
え?
「もう終わったからいーよね?俺は畑に帰る」
…畑に帰るってお前…。
すぐりはようやく、令月の背中から足を退け。
そのまま、スタスタと稽古場を立ち去った。
…すぐり…?
「一体どうなってるんだ…?」
負けたのなら、悔しくてあんな態度になるのもおかしくないが。
何で、勝者のはずのすぐりが、へそを曲げているんだ?
「令月、大丈夫か?」
床に這いつくばる令月に、手を差し伸べる。
「うん」
「背中突き飛ばされてたけど、痛くないか」
「ちょっと痛い」
やっぱり。
「えっ、怪我したの令月君。見せてごらん、私が治すから」
と、シルナ。
制服を捲ってみると、令月の背中は赤く腫れていた。
あの馬鹿。やり過ぎだろ。
「あわわわ、痛かったね、大丈夫大丈夫。すぐ治すからね」
シルナが、慌てて回復魔法をかける。
すると、背中の腫れはみるみるうちに引いた。
良かった。
「あの馬鹿…。怪我させるなんて」
「別に大したことないよ」
令月が大したことなくても、俺達にとっては大したことなんだよ。
それに、すぐりのあの態度。
「あいつ、めちゃくちゃ不機嫌だったけど…。どうしたんだ?」
「…さぁ…分かんない…」
令月にも、よく分からないらしい。
令月に分からないなら、俺達に分かるはずが…。
「それが分かるんですよね〜、天才イケメン教師の僕には」
「…読心ハレンチ教師の間違いだろ」
…で?
その自称イケメン教師は、すぐりの不機嫌の理由が分かるのか?


