「ちょこまかと…ゴキブリみたいな奴だよ」
と、悪態をつくすぐり。
「ごめんね。でも、簡単にやられたくはないから」
「簡単に引っ掛かった癖に」
「もう引っ掛からないよ」
「へーぇ。言ったね?」
第2ラウンド、スタート。
すぐりのワイヤーが、更に速度を増して襲い掛かる。
嘘だろ。あれ、まだ速度上がるのかよ。
おまけに令月は、それさえ想定済みとばかりに、鮮やかにかわす。
透明で見えないが、恐らく、あのワイヤーの間にも、糸が仕込まれているのだろうが。
令月は引っ掛からない。宣言通りに。
そのまま、ワイヤー攻撃を掻い潜って、再びすぐりの懐に入り込む。
令月の木刀が、すぐりの喉元を捉えた。
お、おい。だからお前ら、殺し合いじゃないって分かってるよな?
しかし。
懐に入られた途端。
すぐりが、宙を舞った。
「!?」
別に、令月に蹴飛ばされたのではない。
自分から飛んだのだ。
すぐりにとっては、令月が自分の懐に入ってくるのは想定内。
それに備えて、すぐりは緊急避難用の足場を、糸で作っていたのだ。
その糸で、すぐりは空中に逃げた。
上を見上げて、ようやく理解した。
この稽古場。このフィールドは。
既に、すぐりが支配している。
執拗なワイヤー攻撃、あれは囮。目眩ましだ。
その間にすぐりは、空中至るところに、蜘蛛の巣のように糸を張り巡らせ。
自分だけのフィールドを、作り上げていたのだ。
恐ろしい。あの糸魔法。
縦横無尽過ぎて、ついていけな、
「!」
それなのに。
令月は顔色一つ変えず、床を思いっきり蹴って、すぐりが立っている空中に飛んだ。
力魔法だ。
力魔法で、己の脚力を飛躍的に上昇させ。
木刀を振るって、すぐりが張り巡らせた糸を断ち切りながら、自分も空中飛んだのだ。
いきなり空中戦、勃発。
だが。
同じ空中にいても、有利なのはやはり、すぐりの方だ。
令月は、壁や床を蹴って助走をつけなければ、空には飛べないが。
すぐりの方は、自分の張った糸で、自在に動き回れる。
だが、令月はそんな自分の不利を物ともせず。
糸を断ち切り、すぐりの足場をなくしながら、再び接近しようとした。
糸の足場がなくなれば、自然と地上戦に逆戻りすると踏んだのだ。
しかし、すぐりはあくまで、自分の得意なフィールドを崩すつもりはないらしく。
断ち切られた分の糸を張りながら、ワイヤーで牽制しつつ、令月からの距離を離していた。
ギリギリの攻防戦に、俺達が肝を冷やしていることも知らず。
それどころか。
「…気に入らないなぁ」
すぐりが、ポツリと呟いた。
…気に入らない?
…って、何が?
と、悪態をつくすぐり。
「ごめんね。でも、簡単にやられたくはないから」
「簡単に引っ掛かった癖に」
「もう引っ掛からないよ」
「へーぇ。言ったね?」
第2ラウンド、スタート。
すぐりのワイヤーが、更に速度を増して襲い掛かる。
嘘だろ。あれ、まだ速度上がるのかよ。
おまけに令月は、それさえ想定済みとばかりに、鮮やかにかわす。
透明で見えないが、恐らく、あのワイヤーの間にも、糸が仕込まれているのだろうが。
令月は引っ掛からない。宣言通りに。
そのまま、ワイヤー攻撃を掻い潜って、再びすぐりの懐に入り込む。
令月の木刀が、すぐりの喉元を捉えた。
お、おい。だからお前ら、殺し合いじゃないって分かってるよな?
しかし。
懐に入られた途端。
すぐりが、宙を舞った。
「!?」
別に、令月に蹴飛ばされたのではない。
自分から飛んだのだ。
すぐりにとっては、令月が自分の懐に入ってくるのは想定内。
それに備えて、すぐりは緊急避難用の足場を、糸で作っていたのだ。
その糸で、すぐりは空中に逃げた。
上を見上げて、ようやく理解した。
この稽古場。このフィールドは。
既に、すぐりが支配している。
執拗なワイヤー攻撃、あれは囮。目眩ましだ。
その間にすぐりは、空中至るところに、蜘蛛の巣のように糸を張り巡らせ。
自分だけのフィールドを、作り上げていたのだ。
恐ろしい。あの糸魔法。
縦横無尽過ぎて、ついていけな、
「!」
それなのに。
令月は顔色一つ変えず、床を思いっきり蹴って、すぐりが立っている空中に飛んだ。
力魔法だ。
力魔法で、己の脚力を飛躍的に上昇させ。
木刀を振るって、すぐりが張り巡らせた糸を断ち切りながら、自分も空中飛んだのだ。
いきなり空中戦、勃発。
だが。
同じ空中にいても、有利なのはやはり、すぐりの方だ。
令月は、壁や床を蹴って助走をつけなければ、空には飛べないが。
すぐりの方は、自分の張った糸で、自在に動き回れる。
だが、令月はそんな自分の不利を物ともせず。
糸を断ち切り、すぐりの足場をなくしながら、再び接近しようとした。
糸の足場がなくなれば、自然と地上戦に逆戻りすると踏んだのだ。
しかし、すぐりはあくまで、自分の得意なフィールドを崩すつもりはないらしく。
断ち切られた分の糸を張りながら、ワイヤーで牽制しつつ、令月からの距離を離していた。
ギリギリの攻防戦に、俺達が肝を冷やしていることも知らず。
それどころか。
「…気に入らないなぁ」
すぐりが、ポツリと呟いた。
…気に入らない?
…って、何が?


