次の瞬間。
地面に倒れ、組み伏せられていたのは。
僕ではなく、『八千歳』の方だった。
『八千歳』の首もとには、僕が右手に持っている小太刀の刃を、ピタリと当てていた。
「…!!」
『八千歳』は、驚愕に目を見開いていた。
「君は一つ…思い違いをしてる…」
僕は、息も絶え絶えになりながら言った。
『八千歳』の、二本のワイヤー。
一本目は、咄嗟に投げたクナイで軌道を変えた。
二本目は、左手の小太刀で受け止め、力魔法で無理矢理絡み付かせて、後ろに投げ捨てた。
そして、投げ捨てた反動を利用して、一瞬で『八千歳』に肉薄し。
力魔法で、無理矢理組み伏せて地面に引き倒し、馬乗りになった。
だが、軌道を逸らしたはずの一本目が、僕の左肩から右脇にかけて、深々と切り裂いていた。
僕が上に乗ってるのに、僕の方が致命傷を負ってるなんて、おかしな話だ。
これじゃ、相討ちだ。
でも、そんなことはとうに覚悟していた。
「半年間僕は…ルーデュニア聖王国一番の魔導学院で…ずっと勉強してきたんだ…」
力魔法しか使えない。
だから、その力魔法を伸ばそう。
学院長自ら、教えられ、鍛えられたのだ。
努力をしていたのは、僕も同じなんだ。
この日の為に。
自分の大切なものを、奪われない為に。
「…くっ…この…!」
僕の小太刀に巻き取られ、一本は使い物にならないが。
『八千歳』は、僕の身体を切り裂いたもう一本のワイヤーを動かそうとした。
だが。
「がはっ…!」
僕は思いっきり、『八千歳』の肩を地面に押し付けた。
勿論、力魔法を使って、だ。
『八千歳』の左肩が、地面に陥没する勢いで粉砕した。
それと同時に。
靴底に仕込んだ毒針を、『八千歳』の右足に刺した。
「っ…!」
「…これで、動けないね」
強力な、麻痺毒だ。
毒耐性のある『八千歳』でも、数分ほど動きを止めるだけなら充分。
数分もあれば。
この状態の『八千歳』を、百回は殺せる。
「まだだ…!まだ俺は…」
「君の敗けだよ」
いや、それは違うか。
正しくは、引き分けだ。
僕だって致命傷を負ってる。この出血量と、先程背中に受けた毒。
血の巡りを遅らせて、毒の回りを遅くしてはいるけれど。
解毒出来てる訳じゃない。いずれ、心臓に回って死ぬ。
こんな森の奥じゃ、助けも来ない。
だから。
僕も、君と同じだから。
「…一緒に、地獄に行こう」
君は、僕を嫌ってるけれど。
お互い、一人で地獄に行くのは心細いだろう?
「さよなら」
僕は、小太刀を『八千歳』の心臓めがけて振り下ろした。
その瞬間。
地面に倒れ、組み伏せられていたのは。
僕ではなく、『八千歳』の方だった。
『八千歳』の首もとには、僕が右手に持っている小太刀の刃を、ピタリと当てていた。
「…!!」
『八千歳』は、驚愕に目を見開いていた。
「君は一つ…思い違いをしてる…」
僕は、息も絶え絶えになりながら言った。
『八千歳』の、二本のワイヤー。
一本目は、咄嗟に投げたクナイで軌道を変えた。
二本目は、左手の小太刀で受け止め、力魔法で無理矢理絡み付かせて、後ろに投げ捨てた。
そして、投げ捨てた反動を利用して、一瞬で『八千歳』に肉薄し。
力魔法で、無理矢理組み伏せて地面に引き倒し、馬乗りになった。
だが、軌道を逸らしたはずの一本目が、僕の左肩から右脇にかけて、深々と切り裂いていた。
僕が上に乗ってるのに、僕の方が致命傷を負ってるなんて、おかしな話だ。
これじゃ、相討ちだ。
でも、そんなことはとうに覚悟していた。
「半年間僕は…ルーデュニア聖王国一番の魔導学院で…ずっと勉強してきたんだ…」
力魔法しか使えない。
だから、その力魔法を伸ばそう。
学院長自ら、教えられ、鍛えられたのだ。
努力をしていたのは、僕も同じなんだ。
この日の為に。
自分の大切なものを、奪われない為に。
「…くっ…この…!」
僕の小太刀に巻き取られ、一本は使い物にならないが。
『八千歳』は、僕の身体を切り裂いたもう一本のワイヤーを動かそうとした。
だが。
「がはっ…!」
僕は思いっきり、『八千歳』の肩を地面に押し付けた。
勿論、力魔法を使って、だ。
『八千歳』の左肩が、地面に陥没する勢いで粉砕した。
それと同時に。
靴底に仕込んだ毒針を、『八千歳』の右足に刺した。
「っ…!」
「…これで、動けないね」
強力な、麻痺毒だ。
毒耐性のある『八千歳』でも、数分ほど動きを止めるだけなら充分。
数分もあれば。
この状態の『八千歳』を、百回は殺せる。
「まだだ…!まだ俺は…」
「君の敗けだよ」
いや、それは違うか。
正しくは、引き分けだ。
僕だって致命傷を負ってる。この出血量と、先程背中に受けた毒。
血の巡りを遅らせて、毒の回りを遅くしてはいるけれど。
解毒出来てる訳じゃない。いずれ、心臓に回って死ぬ。
こんな森の奥じゃ、助けも来ない。
だから。
僕も、君と同じだから。
「…一緒に、地獄に行こう」
君は、僕を嫌ってるけれど。
お互い、一人で地獄に行くのは心細いだろう?
「さよなら」
僕は、小太刀を『八千歳』の心臓めがけて振り下ろした。
その瞬間。


