神殺しのクロノスタシス3

しかし。

「僕の料理の腕前は、こんなに上がってるのに…。何であなたは駄目なんですかねぇ…」
 
「うぉえっ…気持ち悪…」

「生じゃないんですよ、これ。焼きトマト。焼いてありますからほら」

「無理無理、だってそれもう…脳みそじゃん!皮にシワ寄ってさぁ…完全に脳みその食品サンプルじゃん!」

脳みそはこんなに真っ赤じゃないでしょう。

それはともかく。

すぐりさんは、やっぱり丸ごとのトマトが駄目らしく。

チーズ焼きにしても、ファルシにしても駄目。

何度も言うが、僕の料理の腕前に問題がある訳ではない。

だって、廊下で捕まえた他の生徒達は、皆美味しいって食べてくれましたし。

一応すぐりさんも、ミートソースや、チキンのトマト煮は食べられた。

しかし、卵とトマトの炒め物や、トマトのマリネは駄目だった。

つまり、トマトの形が残っていたらNGで、なくなっていればOKらしい。

ちなみに、プチトマトも駄目だった。

ようは、あのトマトの種のプチプチ感と、独特の酸味が駄目なんだな。

分からなくはない。

最近よくある、フルーツトマトとかはどうなんだろう?

どうやら見た目も嫌悪してるみたいだから、フルーツトマトでも拒否されそうだが。

「無理。匂いで吐きそう」

「…」

ナスと違って、トマトは結構、匂いがありますからね。

ある意味、ナスより難敵。

しかし、料理の幅としては、トマトの方が応用が利く気がする。

で、思いっきりトマトに及び腰のすぐりさんだが。

「…それでもあなた、トマト丸かじりするんでしょ?ツキナさんと」

「うぐっ…」

「だったら、焼きトマトくらい食べられなくてどうしますか」

「うぅ…そーなんだけど…そーなんだけどさぁ…」

焼きトマトが駄目なら、生のトマトなんて夢のまた夢。

「どう見ても脳みそじゃん…。何考えてるの人類…。こんなの平気で食べられるとか…イカれてるとしか思えないでしょ…」

「…」

全国のトマト好き、激怒。

「俺には無理だよ…」

「じゃ、カミングアウトするしかないですね」

俺、トマト駄目なんだよ、って。

今度こそ、正直に告白すれば良い。

素直が一番。僕を見習ってくれ。

「…そんなこと言ったら、ツキナ悲しむじゃん」

「…それは仕方ないでしょ。あなたが食べらないのが悪いんですから」

「そしたら俺が、ツキナを悲しませたってことになるじゃん!やだよ!」

「…」

「…何で黙るのさ!」

「いや、もう面倒臭いなぁって…」

そもそも、何で僕、毎日調理室に通ってるんだろう。