で、何故ナジュがむーむーおばけにされたのか、その理由を説明しよう。
あの森の奥での戦い。
俺達が相手していたのは、鬼頭夜陰本人ではなく、あくまで鬼頭の影武者だったと知った。
結局奴の手のひらの上で踊らされたのかと思うと、腹立たしかったが。
とりあえず、『終日組』の暗殺者を少なからぬ人数始末し。
『アメノミコト』の戦力を、少しでも削いでやったことに満足することにした。
で、それで一件落着、さぁ学院に戻ろう、としたら。
いきなり、鬼頭の影武者がぶるぶる震え出し。
ピカッと光ったかと思うと、ナジュがその影武者の亡骸に覆い被さり。
空間魔法で、異空間に消えた。
これで、何が起きたか察しがつくかと思うが。
あの影武者は、死ぬと同時に周りを巻き込んで爆発するよう、体内に時限爆弾が仕込まれていたのだ。
いち早くそれを察したナジュが、身を挺して俺達を庇い、影武者爆弾ごと異空間に飛び、爆発。
戻ってきたナジュは、全身に爆弾の破片を浴びて、細切れどころかミンチ状態。
自称男前の面影どころか、人間だったことさえ分からない、ただの肉片になって帰ってきた。
まぁ、それでもこの人、不死身だから。
肉体を挽肉にされようが、時間が経てばもとに戻る。
その場で天音とシルナが、回復魔法でミンチになったナジュの身体を、とりあえず人型まで戻し。
意識を失ってぐったりとしたナジュを、抱えて学院に戻ってきた。
ちなみに、俺達が戦っている間、イーニシュフェルト魔導学院では。
どうやら『アメノミコト』は、俺達の留守中を狙って、学院に押し入り強盗するつもりはなかったらしく。
折角聖魔騎士団から部隊を派遣してもらったというのに、何事も起きず、無事に朝を迎えられた。
何事も起きなかったのは良いことだ。
まぁ、鬼頭本人ですら、影武者を送り込んで高みの見物だったからな。
学院の方にまで、手を回す気はなかったのだろう。
生徒の身に何事もなくて、本当に良かった。
学院で待っていたシュニィは、俺達の無事の帰還と、学院に襲撃がなかったことを喜んでくれたが。
何故か、ジュリスが疲れ果てたように、やれやれと溜息をついていた。
俺達がいない間、何かあったんだろうか。
それはともかく。
そんな経緯があって、俺達は夜明けと共に学院に戻り。
聖魔騎士団は、学院からひっそりと撤退した。
大袈裟に出ていったら、起きてきた生徒が「聖魔騎士団がいるなんて、一体何事だ?」と疑問に思うだろうから。
あくまで今回の件は、生徒には内緒にしていたかった。
だから俺達も、その後、何事もなかったかのように一日の授業を始めた。
体力と魔力の消費は、正直堪えたが。
ここは多少無理をしてでも、生徒に不審がられてはいけないと思ったからだ。
シルナの方も、散々分身を作りまくったせいで、「あ〜疲れたー疲れたよー」と、グチグチ文句言ってたが。
こんなこともあろうかと、イレースがシルナの餌付け用に用意していた、秘蔵のチョコレートをちらつかせると。
一瞬で元気になった。
さすがイレースである。
彼女も、少なからず傷を負っていたし、魔力も消費しているだろうに。
そんなことは少しも感じさせず、いつも通り毅然とした態度で、授業を行っていた。
尊敬するところしかない。
天音はと言うと、戦闘にはほとんど加わっていなかったが、その分回復魔法に徹し、彼も彼でかなりの魔力を消費しているはずだが。
天音は元々保有魔力量が多く。
本人も、疲れていたとしても「疲れたから休む」と口に出すタイプではないので。
僕は大丈夫だから、とさっさと医務室に戻り、いつもの職務に戻った。
それから、あの戦闘に参加した二人の生徒。
令月とすぐりだが。
あの二人は、怪我の具合が俺達より酷いので、しばらく天音のもとで療養することになった。
特にすぐりな。
令月の主だった病状は、主に貧血と魔力の消費だけなので、三日ほどで復帰。
すぐりはもう少し遅れて、五日で復帰。
そして最後に残ったのが、今ここで妖怪むーむーおばけと化している、自称男前教師、ナジュである。
一週間たって、ようやく動き回れるようになったこの愚か者を。
どう処分してやろうかと、俺はこの一週間ずっと考えていたが。
先にイレースが処罰を下してくれたので、俺はようやく、溜飲の下がる思いだった。
よくやった。イレース。
あの森の奥での戦い。
俺達が相手していたのは、鬼頭夜陰本人ではなく、あくまで鬼頭の影武者だったと知った。
結局奴の手のひらの上で踊らされたのかと思うと、腹立たしかったが。
とりあえず、『終日組』の暗殺者を少なからぬ人数始末し。
『アメノミコト』の戦力を、少しでも削いでやったことに満足することにした。
で、それで一件落着、さぁ学院に戻ろう、としたら。
いきなり、鬼頭の影武者がぶるぶる震え出し。
ピカッと光ったかと思うと、ナジュがその影武者の亡骸に覆い被さり。
空間魔法で、異空間に消えた。
これで、何が起きたか察しがつくかと思うが。
あの影武者は、死ぬと同時に周りを巻き込んで爆発するよう、体内に時限爆弾が仕込まれていたのだ。
いち早くそれを察したナジュが、身を挺して俺達を庇い、影武者爆弾ごと異空間に飛び、爆発。
戻ってきたナジュは、全身に爆弾の破片を浴びて、細切れどころかミンチ状態。
自称男前の面影どころか、人間だったことさえ分からない、ただの肉片になって帰ってきた。
まぁ、それでもこの人、不死身だから。
肉体を挽肉にされようが、時間が経てばもとに戻る。
その場で天音とシルナが、回復魔法でミンチになったナジュの身体を、とりあえず人型まで戻し。
意識を失ってぐったりとしたナジュを、抱えて学院に戻ってきた。
ちなみに、俺達が戦っている間、イーニシュフェルト魔導学院では。
どうやら『アメノミコト』は、俺達の留守中を狙って、学院に押し入り強盗するつもりはなかったらしく。
折角聖魔騎士団から部隊を派遣してもらったというのに、何事も起きず、無事に朝を迎えられた。
何事も起きなかったのは良いことだ。
まぁ、鬼頭本人ですら、影武者を送り込んで高みの見物だったからな。
学院の方にまで、手を回す気はなかったのだろう。
生徒の身に何事もなくて、本当に良かった。
学院で待っていたシュニィは、俺達の無事の帰還と、学院に襲撃がなかったことを喜んでくれたが。
何故か、ジュリスが疲れ果てたように、やれやれと溜息をついていた。
俺達がいない間、何かあったんだろうか。
それはともかく。
そんな経緯があって、俺達は夜明けと共に学院に戻り。
聖魔騎士団は、学院からひっそりと撤退した。
大袈裟に出ていったら、起きてきた生徒が「聖魔騎士団がいるなんて、一体何事だ?」と疑問に思うだろうから。
あくまで今回の件は、生徒には内緒にしていたかった。
だから俺達も、その後、何事もなかったかのように一日の授業を始めた。
体力と魔力の消費は、正直堪えたが。
ここは多少無理をしてでも、生徒に不審がられてはいけないと思ったからだ。
シルナの方も、散々分身を作りまくったせいで、「あ〜疲れたー疲れたよー」と、グチグチ文句言ってたが。
こんなこともあろうかと、イレースがシルナの餌付け用に用意していた、秘蔵のチョコレートをちらつかせると。
一瞬で元気になった。
さすがイレースである。
彼女も、少なからず傷を負っていたし、魔力も消費しているだろうに。
そんなことは少しも感じさせず、いつも通り毅然とした態度で、授業を行っていた。
尊敬するところしかない。
天音はと言うと、戦闘にはほとんど加わっていなかったが、その分回復魔法に徹し、彼も彼でかなりの魔力を消費しているはずだが。
天音は元々保有魔力量が多く。
本人も、疲れていたとしても「疲れたから休む」と口に出すタイプではないので。
僕は大丈夫だから、とさっさと医務室に戻り、いつもの職務に戻った。
それから、あの戦闘に参加した二人の生徒。
令月とすぐりだが。
あの二人は、怪我の具合が俺達より酷いので、しばらく天音のもとで療養することになった。
特にすぐりな。
令月の主だった病状は、主に貧血と魔力の消費だけなので、三日ほどで復帰。
すぐりはもう少し遅れて、五日で復帰。
そして最後に残ったのが、今ここで妖怪むーむーおばけと化している、自称男前教師、ナジュである。
一週間たって、ようやく動き回れるようになったこの愚か者を。
どう処分してやろうかと、俺はこの一週間ずっと考えていたが。
先にイレースが処罰を下してくれたので、俺はようやく、溜飲の下がる思いだった。
よくやった。イレース。


