――――――…時を遡ること、十数分前。
俺は、いつも通りツキナと二人で、園芸部の畑に入り浸っていた。
「はーいどっこいしょー」
「…」
「ほーいどっこいしょー」
「…」
「ほらすぐり君も!一緒にやろ!」
いや。
今日も今日とて、ツキナが摩訶不思議なことやってて、面白いなぁって。
眺めてた。
「やーれどっこいしょー!」
「はいどっこいしょー」
二人して、園芸部でソーラン節でもやってんのか、と思われたかもしれないが。
別に、ソーラン節踊ってる訳じゃない。
収穫作業だ。
俺とツキナが、苗の植え付けから始めたきゅうりが。
旬を迎え、すくすくと成長し。
ようやく実りの時期を迎え、収穫出来るものが増えてきた。
きゅうりって、「あと一日置いとこうかな」って思って、一晩放置しておくと。
翌日には、とんでもないビッグサイズに成長してたりするから。
こいつらの成長速度、半端じゃないよ。
そんなきゅうり達の収穫作業を、さっきからツキナは、どっこいしょどっこいしょ言いながらやってるのだ。
何故そんな掛け声が必要なのか、多分掛け声なんか必要ないと思うが。
ツキナが楽しそーだから、良いや。
「ふー、今日はこれくらいかな〜」
どっこいしょ言いながら収穫したきゅうりを見て、ご満悦のツキナ。
を、見てご満悦の俺。
「ねぇねぇ、すぐり君。これはどうやって食べようかな?」
「そうだねー…。暑くなってきたし、酢の物とかどう?」
「酢の物!良いね!」
ツキナが、太陽のような笑顔で答える。
ご馳走様です。
「あ、そうだ。昨日漬けたきゅうりの一本漬けが、良い感じに漬かってるよ〜。一緒に食べよっか」
「そーだね」
漬けたね、昨日一緒に。
しかし、きゅうりのレシピって、意外にパッと思いつかないよな。
まぁ、生で食べても美味しいけどさ。
マヨネーズつけてたべたり、一本漬けとか、さっき言った酢の物とか…。
あとは何だろう…かっぱ巻き?
なんて、乏しい脳内きゅうりメニュー表を漁っていると。
「あ、ねぇ、すぐり君」
「んー?」
ツキナが、ちょいちょい、と俺の清福の裾を引っ張った。
「知ってる?今、学院長先生が、ダイエットしてるんだって」
「あー…。らしいね」
聞かなくても、校内の掲示板にベタベタ貼ってあるから、嫌でも気づく。
『八千代』も、そんなこと言ってたよ。確か。
「大丈夫かな?学院長先生、あんなにお菓子好きなのに。全然食べてないのかな?」
「さぁ…。食べてないんじゃない?」
『八千代』も、学院長が挫折した、とは言ってなかったし。
まだ続いてるんじゃないの?知らないけど。
俺ぶっちゃけ、学院長が太ろうが痩せようが、どうでも良いと思ってるから。
それより、ツキナと一緒に作る、きゅうりレシピの方が大事。
「食べてないのかー…。なんか、可哀想だね」
そうか?
馬鹿みたいに砂糖菓子ばかり食ってる、そのツケが回ってきただけでは?
「ね、すぐり君。提案なんだけど」
「なーに?」
「このきゅうりの一本漬け、持っていってあげない?」
と、ツキナが言った。
俺は、いつも通りツキナと二人で、園芸部の畑に入り浸っていた。
「はーいどっこいしょー」
「…」
「ほーいどっこいしょー」
「…」
「ほらすぐり君も!一緒にやろ!」
いや。
今日も今日とて、ツキナが摩訶不思議なことやってて、面白いなぁって。
眺めてた。
「やーれどっこいしょー!」
「はいどっこいしょー」
二人して、園芸部でソーラン節でもやってんのか、と思われたかもしれないが。
別に、ソーラン節踊ってる訳じゃない。
収穫作業だ。
俺とツキナが、苗の植え付けから始めたきゅうりが。
旬を迎え、すくすくと成長し。
ようやく実りの時期を迎え、収穫出来るものが増えてきた。
きゅうりって、「あと一日置いとこうかな」って思って、一晩放置しておくと。
翌日には、とんでもないビッグサイズに成長してたりするから。
こいつらの成長速度、半端じゃないよ。
そんなきゅうり達の収穫作業を、さっきからツキナは、どっこいしょどっこいしょ言いながらやってるのだ。
何故そんな掛け声が必要なのか、多分掛け声なんか必要ないと思うが。
ツキナが楽しそーだから、良いや。
「ふー、今日はこれくらいかな〜」
どっこいしょ言いながら収穫したきゅうりを見て、ご満悦のツキナ。
を、見てご満悦の俺。
「ねぇねぇ、すぐり君。これはどうやって食べようかな?」
「そうだねー…。暑くなってきたし、酢の物とかどう?」
「酢の物!良いね!」
ツキナが、太陽のような笑顔で答える。
ご馳走様です。
「あ、そうだ。昨日漬けたきゅうりの一本漬けが、良い感じに漬かってるよ〜。一緒に食べよっか」
「そーだね」
漬けたね、昨日一緒に。
しかし、きゅうりのレシピって、意外にパッと思いつかないよな。
まぁ、生で食べても美味しいけどさ。
マヨネーズつけてたべたり、一本漬けとか、さっき言った酢の物とか…。
あとは何だろう…かっぱ巻き?
なんて、乏しい脳内きゅうりメニュー表を漁っていると。
「あ、ねぇ、すぐり君」
「んー?」
ツキナが、ちょいちょい、と俺の清福の裾を引っ張った。
「知ってる?今、学院長先生が、ダイエットしてるんだって」
「あー…。らしいね」
聞かなくても、校内の掲示板にベタベタ貼ってあるから、嫌でも気づく。
『八千代』も、そんなこと言ってたよ。確か。
「大丈夫かな?学院長先生、あんなにお菓子好きなのに。全然食べてないのかな?」
「さぁ…。食べてないんじゃない?」
『八千代』も、学院長が挫折した、とは言ってなかったし。
まだ続いてるんじゃないの?知らないけど。
俺ぶっちゃけ、学院長が太ろうが痩せようが、どうでも良いと思ってるから。
それより、ツキナと一緒に作る、きゅうりレシピの方が大事。
「食べてないのかー…。なんか、可哀想だね」
そうか?
馬鹿みたいに砂糖菓子ばかり食ってる、そのツケが回ってきただけでは?
「ね、すぐり君。提案なんだけど」
「なーに?」
「このきゅうりの一本漬け、持っていってあげない?」
と、ツキナが言った。


