――――――…リリスとの「初対面」から、数日。
放課後、俺とシルナ、イレース、令月の四人で、医務室に向かった。
何をしに行ったかなど、言うまでもない。
未だ目を覚まさない、同僚を見舞う為だ。
「…天音」
「皆さん…」
ナジュの眠るベッドの傍らに、天音が座っていた。
浮かない顔だった。
「…相変わらずか?」
「…そうだね」
…そうか。
期待していた訳じゃない。もし俺達がいない間に目を覚ましていれば。
すぐにでも、天音が知らせてくれるだろうから。
その知らせがないってことは、状況に変わりはないということだ。
「ナジュ…」
ナジュの瞳は、固く閉じられたままで。
もう一生、開くことはないのではないかとさえ思えた。
馬鹿言え。
こいつには、言ってやらないといけないことが山程あるのだ。
目を覚ましてもらわなければ困る…。
「全く…とんでもない寝穢さです。困ったものですね」
と、嘆息するイレース。
本当にな。
寝坊にも程があるぞ、ナジュ。
「ナジュ君、これナジュ君のおやつ」
シルナは、持参した見舞いの品…チョコバームクーヘン…を、ナジュの傍に置いた。
「これ美味しいよ〜。これ。早く起きないと腐っちゃうよ〜…」
「…」
チョコバームクーヘンに釣られて起きるのは、お前くらいだ。
更に。
「よいしょ」
「令月…何やってんだ」
「お見舞い」
それがお見舞いか。
令月は、あろうことか、不気味な般若とインディアンを足して2で割ったようなお面を、ナジュの傍に立て掛けていた。
さっきからそのお面持ってて、一体何を持ってるのかと思ったら。
まさか、それがお見舞いの品とは。
「不気味過ぎるだろ…」
「でもこれ、ジャマ王国ではよく病人に送られる見舞い品だよ」
何だと?
見舞い品って言ったら、普通花束とか果物とか…。
鉢植えは縁起が悪いから、渡さない方が良いらしい。
で、ジャマ王国では何が常識だって?
「身体の中の病原体が、このお面を怖がって、その人の身体の中から逃げちゃうようにって、おまじない」
「…成程」
ちょっと納得してしまった自分がいる。
でも、俺はやっぱり嫌だな。
俺が倒れるときがあったら、そのときは花束を頼む。
仮にこのお面に効果があったとして、目が覚めたときこのお面が目の前にあったら、逆に具合悪くなりそう。
…それで。
「天音。…リリスは?」
「…」
天音は、無言で首を横に振った。
ナジュが駄目なら、せめてリリスを通して、ナジュの様子を知れたらと思ったのだが。
残念ながら、それも叶わないらしい。
「何度も呼びかけてはいる。けど…」
…応答はなし、か。
リリスとも、あれっきりだ。
一度出てきて、俺達を罵って、それ以来ナジュの身体を借りて、姿を現すことはなかった。
それもそのはず。
リリスは、俺達のことを完全に、敵認定していた。
ナジュをこんな風にした、張本人達だと。
実際、その通りだから言い返せない。
…結局、俺達に出来ることは。
「早く戻ってこいよ…馬鹿ナジュ」
必死に声を掛け、呼び掛け。
チョコバームクーヘンや、不気味なお面を傍に置き。
ただナジュが目覚めるように、祈っていることだけなのだ。
…無力な自分が呪わしい。
「…ところで」
と、イレース。
「すぐりさんは何処です?あの人、放課後になると消えますけど…」
…確かに。
俺達みたいに毎日とは行かずとも、たまには顔を出してやっても、バチは当たらんと思うぞ。
すると、令月が答えた。
「『八千歳』はね…らんでぶー、って奴だから」
「…?」
…ランデブー?
何のことだ、それは…。
放課後、俺とシルナ、イレース、令月の四人で、医務室に向かった。
何をしに行ったかなど、言うまでもない。
未だ目を覚まさない、同僚を見舞う為だ。
「…天音」
「皆さん…」
ナジュの眠るベッドの傍らに、天音が座っていた。
浮かない顔だった。
「…相変わらずか?」
「…そうだね」
…そうか。
期待していた訳じゃない。もし俺達がいない間に目を覚ましていれば。
すぐにでも、天音が知らせてくれるだろうから。
その知らせがないってことは、状況に変わりはないということだ。
「ナジュ…」
ナジュの瞳は、固く閉じられたままで。
もう一生、開くことはないのではないかとさえ思えた。
馬鹿言え。
こいつには、言ってやらないといけないことが山程あるのだ。
目を覚ましてもらわなければ困る…。
「全く…とんでもない寝穢さです。困ったものですね」
と、嘆息するイレース。
本当にな。
寝坊にも程があるぞ、ナジュ。
「ナジュ君、これナジュ君のおやつ」
シルナは、持参した見舞いの品…チョコバームクーヘン…を、ナジュの傍に置いた。
「これ美味しいよ〜。これ。早く起きないと腐っちゃうよ〜…」
「…」
チョコバームクーヘンに釣られて起きるのは、お前くらいだ。
更に。
「よいしょ」
「令月…何やってんだ」
「お見舞い」
それがお見舞いか。
令月は、あろうことか、不気味な般若とインディアンを足して2で割ったようなお面を、ナジュの傍に立て掛けていた。
さっきからそのお面持ってて、一体何を持ってるのかと思ったら。
まさか、それがお見舞いの品とは。
「不気味過ぎるだろ…」
「でもこれ、ジャマ王国ではよく病人に送られる見舞い品だよ」
何だと?
見舞い品って言ったら、普通花束とか果物とか…。
鉢植えは縁起が悪いから、渡さない方が良いらしい。
で、ジャマ王国では何が常識だって?
「身体の中の病原体が、このお面を怖がって、その人の身体の中から逃げちゃうようにって、おまじない」
「…成程」
ちょっと納得してしまった自分がいる。
でも、俺はやっぱり嫌だな。
俺が倒れるときがあったら、そのときは花束を頼む。
仮にこのお面に効果があったとして、目が覚めたときこのお面が目の前にあったら、逆に具合悪くなりそう。
…それで。
「天音。…リリスは?」
「…」
天音は、無言で首を横に振った。
ナジュが駄目なら、せめてリリスを通して、ナジュの様子を知れたらと思ったのだが。
残念ながら、それも叶わないらしい。
「何度も呼びかけてはいる。けど…」
…応答はなし、か。
リリスとも、あれっきりだ。
一度出てきて、俺達を罵って、それ以来ナジュの身体を借りて、姿を現すことはなかった。
それもそのはず。
リリスは、俺達のことを完全に、敵認定していた。
ナジュをこんな風にした、張本人達だと。
実際、その通りだから言い返せない。
…結局、俺達に出来ることは。
「早く戻ってこいよ…馬鹿ナジュ」
必死に声を掛け、呼び掛け。
チョコバームクーヘンや、不気味なお面を傍に置き。
ただナジュが目覚めるように、祈っていることだけなのだ。
…無力な自分が呪わしい。
「…ところで」
と、イレース。
「すぐりさんは何処です?あの人、放課後になると消えますけど…」
…確かに。
俺達みたいに毎日とは行かずとも、たまには顔を出してやっても、バチは当たらんと思うぞ。
すると、令月が答えた。
「『八千歳』はね…らんでぶー、って奴だから」
「…?」
…ランデブー?
何のことだ、それは…。


