不思議な子だった。
馬鹿な子だった。
彼女は、判断を間違えた。
僕なんて、死にかけた僕の、どうでも良い命なんて、放っておけば良かった。
他のクラスメイトと同じように。
それなのに彼女は僕の枕元にやって来て、甲斐甲斐しく手当てをした。
包帯を変え、傷口の膿を取り除き、体力が回復するようにと、水と食べ物を持ってきた。
こっそりくすねてきた、抗生剤まで飲ませてくれた。
僕は尋ねた。何でそんなことをするのかと。
僕を生かしたって、彼女に良いことは何もないはずだった。
敵に塩を送るも同然だった。
でも、彼女は笑顔で答えた。
「こんな場所だから。こんな場所にいるからこそ、生きられる命は大事にしなくちゃいけない」と。
僕にとっては、青天の霹靂だった。
何を言ってるんだ。
今生き残ったって、今月末の試験で死ぬかもしれない。
今月末生き残ったって、来月の試験で死ぬかもしれない。
死ぬかもしれない。死ぬかもしれない。死ぬかもしれないの毎日の中で。
彼女はただ一人、生きる希望を失っていなかった。
眩しい人だった。
尊い人だった。
自身も毎月の試験でクラスメイトを殺し、その罪悪感に苛まれながらも。
それでも、生きることを諦めなかった。
希望を持って、毎日毎日、息をしていられる瞬間を、噛み締めるように生きている人だった。
…美しい魂を持った、人だった。
僕はその一件を通して、キエルと仲良くなった。
あのまま放置していれば、死んでいたであろう傷も、彼女の献身的な看護のお陰で、治癒した。
彼女は正しく、僕の命の恩人だった。
誰もが顧みなかった僕の命を、拾い上げ、大切にくるんでくれた。
お互い、いつ死ぬか分からない身だということは分かっていた。
だからこそ、僕達は。
一緒にいられる時間を、噛み締めて生きていたのかもしれない。
…あの日までは。
馬鹿な子だった。
彼女は、判断を間違えた。
僕なんて、死にかけた僕の、どうでも良い命なんて、放っておけば良かった。
他のクラスメイトと同じように。
それなのに彼女は僕の枕元にやって来て、甲斐甲斐しく手当てをした。
包帯を変え、傷口の膿を取り除き、体力が回復するようにと、水と食べ物を持ってきた。
こっそりくすねてきた、抗生剤まで飲ませてくれた。
僕は尋ねた。何でそんなことをするのかと。
僕を生かしたって、彼女に良いことは何もないはずだった。
敵に塩を送るも同然だった。
でも、彼女は笑顔で答えた。
「こんな場所だから。こんな場所にいるからこそ、生きられる命は大事にしなくちゃいけない」と。
僕にとっては、青天の霹靂だった。
何を言ってるんだ。
今生き残ったって、今月末の試験で死ぬかもしれない。
今月末生き残ったって、来月の試験で死ぬかもしれない。
死ぬかもしれない。死ぬかもしれない。死ぬかもしれないの毎日の中で。
彼女はただ一人、生きる希望を失っていなかった。
眩しい人だった。
尊い人だった。
自身も毎月の試験でクラスメイトを殺し、その罪悪感に苛まれながらも。
それでも、生きることを諦めなかった。
希望を持って、毎日毎日、息をしていられる瞬間を、噛み締めるように生きている人だった。
…美しい魂を持った、人だった。
僕はその一件を通して、キエルと仲良くなった。
あのまま放置していれば、死んでいたであろう傷も、彼女の献身的な看護のお陰で、治癒した。
彼女は正しく、僕の命の恩人だった。
誰もが顧みなかった僕の命を、拾い上げ、大切にくるんでくれた。
お互い、いつ死ぬか分からない身だということは分かっていた。
だからこそ、僕達は。
一緒にいられる時間を、噛み締めて生きていたのかもしれない。
…あの日までは。


