僕は、天音・オルティス・グランディエの赴任を、素直に喜べない。
それは別に、彼のことが個人的に嫌いだからではない。
むしろ、普通に良い人だと思う。
あの人は、学院長に似てる。
自分の為より、人の為に行動するのが価値基準になってるタイプの人。
そういう人は苦手だが、でも嫌いではない。
じゃあ、回復魔法の授業が苦手だから?
別にそういう訳でもない。
回復魔法が苦手なのは事実だけど。
回復魔法どころか、力魔法以外の全てが苦手だ。
そうじゃない。
ただ、申し訳なくなっただけだ。
学院長達が、わざと嬉しそうに天音さんの赴任を教えてくれたときから。
僕は、申し訳なさしか感じてない。
だって。
天音さんがイーニシュフェルトに来たのは、多分。
いや、間違いなく。
僕のせいだ。
僕のせいで、あの人はここに来た。
忘れてはいけない。
僕は忘れてない。つい先日起きた、「一連の事件」のことを。
あれがまた、いつ起きてもおかしくないから。
いつ起きても大丈夫なように、あの人が派遣されてきたのだ。
少しでも、戦力を増やす為に。
僕を、生徒達を守る為に。
「…」
筆を握る手に、力がこもる。
授業中なのに、不死身先生の声がちっとも頭に入ってこない。
まぁ僕は、元々力魔法しか使えないから。
いくら真面目に風魔法の授業を受けたところで、訳分かんないんだけど。
…僕のせいだ。
僕が裏切ったから。
僕が、頭領様を。『アメノミコト』を裏切ったから。
僕のせいで、イーニシュフェルト魔導学院、シルナ・エインリー学院長は。
ひいては、ルーデュニア聖王国は。
ジャマ王国、そしてジャマ王国を裏で牛耳る『アメノミコト』を…敵に回してしまった。
僕が頭領様を裏切って、こちら側についたから。
そのせいで、皆巻き込まれてしまったのだ。
これは本来、僕が、僕だけが背負わなければならない問題なのに。
…申し訳ない。
本当に、大変申し訳ない。
『アメノミコト』は、裏切り者を許さない。
ましてや僕は、頭領様の親衛隊の一人だった。
そんな僕が、裏切りという、最も重い罪を犯してしまった。
任務の失敗より、ずっと重い罪だ。
頭領様は絶対に僕を、このまま野放しにはしておかない。
必ず、何らかの形で報復してくるはずだ。
それが何なのか、どんな方法なのか、誰を使うのか、それはいつのことになるのかは、分からない。
分からないけど、いつか必ず…来る。
僕の予想が正しければ…近いうちに。
そのときに僕は…どうすれば良いのだろう?
それは別に、彼のことが個人的に嫌いだからではない。
むしろ、普通に良い人だと思う。
あの人は、学院長に似てる。
自分の為より、人の為に行動するのが価値基準になってるタイプの人。
そういう人は苦手だが、でも嫌いではない。
じゃあ、回復魔法の授業が苦手だから?
別にそういう訳でもない。
回復魔法が苦手なのは事実だけど。
回復魔法どころか、力魔法以外の全てが苦手だ。
そうじゃない。
ただ、申し訳なくなっただけだ。
学院長達が、わざと嬉しそうに天音さんの赴任を教えてくれたときから。
僕は、申し訳なさしか感じてない。
だって。
天音さんがイーニシュフェルトに来たのは、多分。
いや、間違いなく。
僕のせいだ。
僕のせいで、あの人はここに来た。
忘れてはいけない。
僕は忘れてない。つい先日起きた、「一連の事件」のことを。
あれがまた、いつ起きてもおかしくないから。
いつ起きても大丈夫なように、あの人が派遣されてきたのだ。
少しでも、戦力を増やす為に。
僕を、生徒達を守る為に。
「…」
筆を握る手に、力がこもる。
授業中なのに、不死身先生の声がちっとも頭に入ってこない。
まぁ僕は、元々力魔法しか使えないから。
いくら真面目に風魔法の授業を受けたところで、訳分かんないんだけど。
…僕のせいだ。
僕が裏切ったから。
僕が、頭領様を。『アメノミコト』を裏切ったから。
僕のせいで、イーニシュフェルト魔導学院、シルナ・エインリー学院長は。
ひいては、ルーデュニア聖王国は。
ジャマ王国、そしてジャマ王国を裏で牛耳る『アメノミコト』を…敵に回してしまった。
僕が頭領様を裏切って、こちら側についたから。
そのせいで、皆巻き込まれてしまったのだ。
これは本来、僕が、僕だけが背負わなければならない問題なのに。
…申し訳ない。
本当に、大変申し訳ない。
『アメノミコト』は、裏切り者を許さない。
ましてや僕は、頭領様の親衛隊の一人だった。
そんな僕が、裏切りという、最も重い罪を犯してしまった。
任務の失敗より、ずっと重い罪だ。
頭領様は絶対に僕を、このまま野放しにはしておかない。
必ず、何らかの形で報復してくるはずだ。
それが何なのか、どんな方法なのか、誰を使うのか、それはいつのことになるのかは、分からない。
分からないけど、いつか必ず…来る。
僕の予想が正しければ…近いうちに。
そのときに僕は…どうすれば良いのだろう?


