「父さん、母さん捕まえたら来るって」



捕まえたら!?
刑事である黒さんが、手錠片手に奥さんをって、一瞬良からぬことを頭に浮かべ、首を振り回し思考を消した。

「何勘違いしてんだ」


緑くんが、思考を読んだと言わんばかり、腹を抱えて笑った。

なんだかいけないことを想像してしまった自分に、何だか照れた。

俺だって健全な男子何だ!

「大雅くん、どうしたの?
あれ、顔赤いよ?」


純白ちゃんが気づいた様に近づいては、至近距離から見つめて来る。

純白ちゃんーー近い、と近いよ…。
そう思っても、彼女は無自覚に煽ってくる。






「純白、食器テーブルセットお願い!」


ナイスあげはママ。
無自覚に近づく、純白ちゃんの動きがぴたり、と止んだ。
笑顔でニコニコ、と去ってく後ろ姿見ながら、
助かった…、と心の中で合唱した。



「おい」






ひぃぃ!!



びっくりした!!殺気を放つ類くん。
いつの間に後ろに居たのか、冷や汗もんだ。


「な、なに?」



正直、類くんは苦手だ。

今も、なんで話かけられたのか
なんとなく分かるんだ。


「俺あんた嫌いだから」



ほら、敵意むき出し。
類くんが俺を嫌いな理由は、いつだってたった1人の女の子。





「純白に近づくな」



近づくなっ、て言われても……


純白ちゃんは人なっこいお姉さん。
最初に出会った時も彼女は、構うな、と言った俺に構ってきた。

変わった女の子。



「純白の過去、なんも知らない癖に」




純白ちゃんの過去ーーー。




きっと、それはーー闇の中で見つけた純白ちゃんの弱い一部分。

普段強く明るい純白ちゃんには、本人しか分からない闇がある。

まだ聞いてないし、聞きたくは無かった。



「俺は聞きたくは無かった。
無理に過去を聞くのは好きじゃない…
俺達は出会ったばかりで、俺のことだって純白ちゃんは全部を知らない。
それが、当たり前なんだよ」



ガっ!!


胸ぐらを思いっきり掴まれた。
少し息苦しいーー。
だけど、自分の感情が抑えきれない類くんにだけは負けない!!、と思った。





「おい、何してんだよ!
離れろ、類!!」



父さんが気づいて止めに入ってきたーーが!?





「えっえっ!まじで父さんそれは落ち着いて!!いくら何でも」


父さんはーーー手に包丁を持っていた。


顔は正直イカつい、強面顔。

あっちの世界の人の様な顔立ち…。
武器が似合うな…などと、しみじみ感じていた。