「俺は父さんと、母さんの子どもで良かったよ」



………。




子どもはいつの間にか、大人になって
いつか親元から離れて行く。


あんなに小さかった。
弱虫で、泣き虫だった大雅が
今は立派になって、笑ってる。





「じゃあ、この時の父さんは泣き虫だったんだね」



え…………なに、これ。



病院で泣きじゃくる龍が私を抱きかかえている写真。


年月を見て思った。

20××年。12月。

私が、公園で冷たくなっていたあの日。


龍に助けを求めたあの日………。




「ばっか、それは!!
なんで大雅がんなもん!!返せ!」



本当はあの日、赤ちゃんより私の命のが危なかったんだと、後から先生に聞いた。


真冬の公園。
雪遊びをしていた子ども達はすっかり居なくて、残ったのはお腹に身体に気づいたら雪が積もっていて………
1人ぼっちの私。

ううん、あの時確かに動いていた心音。


君は確かにそこに居た………。





覚えてるのは、龍にメッセージを送ったことだけ。



龍が来ても意識朦朧。







"ごめんね、龍。
私、代わりに慣れなかった。
代わりは嫌だよ………龍が好きだよ"






私は、龍が好き………。




龍が誰を好きでも、私は龍の事が………。












泣きじゃくる龍なんて初めて見たな。
私の知らないところで、龍はたくさん涙を流したの………?



「それは………そうだな。
お前に誤解ばかりさせて、冷たくなって赤ちゃんは居なくなった。
俺が悪かった……。
とっくに、お前に出会ってからは忘れていたよ。あげはは、いい友人だった」





龍…………。

写真は嘘をつかない………。

「その日、公園で明日咲に言われて気づいた。口が足らなくて、気の利いた言葉は苦手だし、優しくするのも苦手で、何度も白になりたいって思った。
もっと早く、1番大切なのはお前だって言うべきだった」





今は暖かい家族がいる。


今はぬくぬくの龍の腕の中にいる……。


写真は嘘を付かない………。




「私が、あの日死んじゃうと思って泣いてくれたの?」





龍は言葉は足らなかったけど………
行動でいつも示してくれたじゃないーー。


私がそれに気づかなかったから……
赤ちゃんにも龍にも、悪い事をした。