「無理だわ。
俺は今日救われた。
純白ちゃんが背中を押してくれたんだ。
純白ちゃんが頑張れって言ってくれた。


だから、負けない!
何があっても、この1年、やり遂げる!!」



俺がいい終わらないうちに、もう目の前に迫るパンチに、ぎゅ、と目を瞑った。

なんの衝撃も無い。

痛みも、怖さも、
無くなった。



「ーー何してんの?」




金髪男子の拳は、にこやかに笑う男の子によって握られていた。


にこやかな軽めの口調。
だけど瞳に奥に隠れた白光までは隠し切れていなかった。


本当は無理に笑っていて、本来の"黒さ"を隠し切れていなかった。


彼は誰?

学年にこんなイケメン居たかな?

居たら絶対、黙ってはいない。
だけど2年間のロスはなかなか消えやしない。


ーーーーカシャン。



ん?

何あの銀製の輪っかは。
刑事ドラマでよく見るあれだ。

金髪男子の手首にしっかりハマった彼は、身動きが取れず、前のめりに転んだ。


「半澤てめぇ!!「いいから黙って失せろ。今すぐにだ」


有無を言わせない強気な言葉。
俺だけじゃないーーーー。



真っ青になった2人は、怯えた様に逃げようとした。



「あ、そうそう。
それ、返してね。
あと、リストにはしっかり入れるからそのつもりで」



リスト?


ブラックリストみたいなもんだろうか。

つか、助かったけどこの人は?
敵か味方か。