「千帆〜〜、本当におめでとう‼︎」

「アンタ綺麗になって……。たまには僕たちも紫音様と会わせなさいよ!」

「かおりん、タケゾー、今日は来てくれてありがとう!」

 あれから、さらに一年後。

 私と紫音は、無事に正式に夫婦になった。  

 紫音は大学に進学しつつ、お父さんの元で半分働いている。

 私は専門学校へ入学し、今は栄養士の資格を取るために勉強中。進学理由は、大好きな食べ物に関わる仕事をしてみたいと思ったから。

 お互い進学して、少し落ち着いた六月。
 私と紫音は今日ーー、結婚式を挙げている。

 と言っても、壮大な式ではなく、私の希望でかなり小規模なガーデンウェディングにしてもらった。

 森に囲まれた小さな教会で挙式を終えた後、青空の下で皆と立食パーティーをしている。

 友人として招待したのは、かおりんとタケゾーと、それから三条君の三人だ。

「千帆ちゃん、Aラインのドレス似合ってる。綺麗だね」

「三条君! 海外からわざわざ来てくれてありがとうね!」

 高級そうなスーツを見に纏った三条君は、わざわざロンドンから駆けつけてくれた。

 海外の大学に進学した三条君は、今は経営学を学びながら海外生活を楽しんでいるらしい。

 ちなみに、かおりんは都内の女子大に、タケゾーは美容専門学校に進学した。

 皆バラバラになっちゃったけど、それぞれの道を歩んでいる。

 今日は卒業式以来に集まれて、すごく嬉しい。

「紫音様は、千帆の家族に捕まってるね」

「そうなの。うちの家族、全員紫音ラブだから……」

 かおりんの言葉に、チラッと後ろを振り返ると、紫音が私の家族に絡まれてる様子が見えた。

 紫音と結婚すると決まったその日、私の家族はお祭りモード全開になり、かなり前のめりで結婚を許可してくれた。

 弟の拓馬なんて、『俺生まれて初めて姉ちゃんのこと尊敬したよ』なんてキラキラした目で言っていた。

 我が家族ながら、なんて分かりやすい家族なんだろう……。