浦島太郎は神になった

 みんなも知っている浦島太郎の話。ざっくりしたあらすじを説明します。

 浦島太郎は助けた亀に連れられて竜宮城に行くことになります。美しい乙姫様との時間はとても楽しいのです。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。しかし、竜宮城のあっという間は普通ではないらしいのです。誰にでもあっという間に楽しい時間が過ぎた経験はありますよね? 最後に玉手箱を乙姫様に渡されますが、乙姫はなぜか「絶対にこの箱を開けてはいけません」と言います。

 開けてはだめな箱を渡すなんて……。人間、だめだと言われるとついちょっとだけ開けたくなるものですよ。乙姫様、確信犯でしょうか? 自分の世界に戻った浦島太郎はそこが知らない町になっていました。親も友達もみんな死んでしまっている未来の世界にタイムスリップしていたのです。というより、竜宮城と自分が戻った世界の時間の進み方が違ったようでした。確実に時が過ぎていたのです。孤独になった浦島太郎はがっかりして玉手箱を開けてしまいます。すると――煙が出て、若い太郎はあっという間に老人の姿に変わったのです。気がつかないうちに月日は経っていたのです。

 乙姫様は帰り際に玉手箱を浦島太郎に渡したのだけれど、なぜそんな危険な箱を渡したのでしょうか? ふたをあけたら老人になってしまうなんて、恐ろしい箱を渡すべきじゃなかったと思うのだけれど……。浦島太郎に本当の時間を返す義務があると感じたから? 開けずに若い姿で過ごしてほしかったのが本音だったのだと思う? 乙姫様とは悪女なのでしょうか? 

★真相
 実は助けた亀が乙姫様で、彼女の恩返しは一目惚れだったとしたらちょっと話の意味は変わってくるかもしれません。ある意味、浦島太郎というおはなしは、熱烈な恋愛物語なのかもしれません。
 人間と亀、違う生物であり、それでも一緒にいたいという亀の気持ちがあったから、竜宮城に招待したのだと思います。好きでもない人を招待するはずはないと思うのです。 
 玉手箱の中に、浦島太郎の本当の歳(年月)を閉じ込めていたのは乙姫。本当の歳(年月)を持ち主に返した、それが玉手箱の真相でしょう。

 そして、本当は生きていられるはずのない年月が過ぎていた浦島太郎。彼は、老いた姿になった後、人間だから、死んでしまいます。でも、どうしても彼に生きていてほしかった乙姫様は玉手箱に仕掛けをしました。彼は鶴になったのだそうです。鶴になった話はあまり知られていないけれど、原作には描かれているようです。

 そして、亀である乙姫と夫婦になり、なんと浦島太郎は神になったそうです。よほど乙姫様に愛されていたのでしょう。そうでなければ、普通の人間が神社にまつられるなんてそうそうないでしょう。 実際に浦嶋神社が実在しているのです。もし彼が普通の人間だったのならば、人間出身の神なのです。

 浦島太郎の歌っていうのも5番まであるのだけれど、作者不詳のようです。まさかこんなに有名になるなんて、令和時代にまで受け継がれるとは、作詞作曲した人も思わなかったでしょうね。

★教訓
 いいことをすればいいことが返って来るから積極的にいいことをしたほうがいいかもしれない。神様になれるかもしれないのです。