お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



下を向いている時間もなく……。

次の瞬間には、スタートの合図であるピストルの音が鳴り響く。




いっせいにスタート。


まず最初に先頭に飛び出したのは、健くん。
すごい速さでスタートして、その1歩うしろに碧。


5人いるはずなのに、圧倒的に速い2人。
健くんと碧は接戦で、ほかの人たちをどんどんひき離していく。




声援が飛び交って、わたしも声を出さなくちゃ……と思うけど、2人から1秒たりとも目が離せない。



だめだめ。
健くんに、応援するって約束したからちゃんとしなくちゃ……!



「健くん!!頑張って!!」


できるだけ大きな声を出して、応援。


そうした時に、健くんはさらに加速して。
うしろを走る碧と、少しずつ距離ができていく。


なんという速さ。
碧もそうとう速いけど、健くんもここまで速いとは……!


ひらいた距離は縮まらず、離されていく碧。





このままだと碧が……。
碧はちがうクラスだから応援はできない。応援はできないけど……。


一生懸命走る姿を見て、自分の心をおさえられなくなる。









「頑張れっ!!碧……っ!!」


メガホンを使ったことにより、大きな声が出て自分でもびっくり。