お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「応援はしなくていい。しなくていいから、次はちゃんと目、そらさずに見てろ」



まっすぐな瞳と目が合って、逸らせない。


次は……いよいよ、男子の徒競走。
碧と、健くんが競う時。


わたしは、約束どおり勝ったほうにキスしなくちゃ……なんだけど。


今となって、碧は、わたしのキスなんて欲しがる必要があるのか。


っていうか、なんでわたしのキスなんかを欲しがったのか。
今まで、なんで……わたしにキスしたのか。





なんで、さっきあんなことを言うのか。



わからない。
ぜんぜんわからないよ、碧……。




……彼は、ほかにはなにも言わず。

わたしはそのうしろ姿を見送った。