お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。




マイクで響く声。


碧がそう言ったすぐあとに、たくさんの黄色い声やからかうような言葉が飛び交う。


わたしはぱっと顔を上げて碧を見た。



……碧の、片想い?
なんでそんな嘘を……。


あまりの驚きに、立ち尽くす。

なにかを審判の人に聞かれていたり、それに碧が答えたりしていた気がするけど、わたしの頭の中にはなにも入ってこなかった。






はっと我に返った時は、質問が終わったあとで。
……わたしは、碧に手を引かれて歩いていた。



見えるのは、大きなうしろ姿。
伝わるのは、あつい熱。
ぎゅっと強く手を握られて、離れない。



「茉白」



わたしを呼ぶ声が聞こえてくると、碧は立ちどまって、向き合う。