お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。




***


『大切な人』と書かれた紙を見て、1番最初にだれを思い浮かべるのか。


わたしは……1番最初に思い浮かべたのは、碧だった。




でも、無理。
無理だ、無理無理。

碧を連れて行ってゴールするなんて、ぜったい無理!


わたしは立ちどまって、パニックになる頭の中を整理。






今現在、なにが起きているのかというと……借人競走に出ているところ。


もうすでにレースがはじまっていて。
1人1枚お題が書かれた封筒を選んで中を見たら、『大切な人』と書かれていた。




落ち着け、落ち着け、わたし。

わたしのお題は『大切な人』だから、男女どっちでもいいはず。
別に、『好きな人』とベタなお題が出たわけじゃないんだから。


だから、まっさきに思いついた碧じゃなくてもいいんだ。
……凛ちゃんや健くんだって、いいんだ!大切な人だから!





わたしはとまっていた足を動かして、自分のクラスの人たちがいるほうへと向かった。




その時に──見えたのは、碧の顔。

彼は隣のクラスだから近くにいて……目が合った。