お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



目が合って、すぐにごしごしと目をこする。


……泣いてるとこ見られた!?
もし、見られてたら心配させちゃうかも……!


「お、おはよ、健くん……!ちょっと朝から目にゴミが入っちゃって、大変で……!」


必死に笑顔を作って、大丈夫だとアピール。
だけど、彼は階段を上ってきて。


「……どうしたの?なにがあったの?」


わたしの目の前まで来ると、しゃがみこんで顔を覗いてきた。

なんだか、心配そうな表情の彼。


「目にゴミが入っちゃって痛いだけなの……!本当に気にしないで!わたしは目薬でもさしたら教室に行くよ!」


これ以上笑顔を作ることはできそうになくて、健くんに戻ってもらおうと必死に言う、が……。

健くんは戻ることなく、わたしを温かい体温で包み込んだ。





「無理して笑わないでよ。俺でも、それは嘘だってわかるよ。なにかあったならなんでも言ってごらん」


わたしを包む、熱い体温。
甘いいい香り。


優しく頭を撫でてくれるから……その優しさに触れれば涙がさらに溢れて、とまらなくなる。