お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



……碧の気持ちと同じって、うなずいたらずっと一緒にいられたのかな。


でも、やっぱりうなずけるわけない。
わたしは、碧のことが好きだから……。


わたしの好きは、家族や友だちの好きとちがう。
碧とちがう……、恋愛としての好き。





「……好き」


そのうしろ姿にぽつりとつぶやけば、とうとう涙が溢れてくる。


ここは廊下。
だれかに見られたら、心配されてしまうかも……。



わたしは慌てて女子トイレに行こうとした、が。
女子トイレは髪を整えている女の子たちでいっぱいで。


走って階段を上り、屋上のドアの前で座り込んだ。
次々に溢れる涙。


とめられなくて、手で拭う。
そんなことをしていると。








「茉白ちゃん?」


声が聞こえてきて、びっくり。

ひょこっと顔を出して、こっちを見ていたのは──健くんだった。