健くんはわたしの肩に手をまわし、わたしは健くんの腰に手をまわす。
一気に近くなった距離で、いい匂いがした。
顔が整っている人は、なんでこんなにいい匂いがするんだろう。
「いち、に、の合図でゆっくり歩こうか。外側の足から出そう」
「りょーかいです!」
わたしが返事をすると、すぐに「いち、に」とはじまる合図。
わたしは足元を見ながら必死に足を動かした。
ゆっくり歩いて、確実に進む。
歩くのは……なんとかできてる。
今のところ大丈夫そう!
そう思ったらすぐあと。
「やっほー、碧くん」
突然、健くんは合図をしなくなって、リズムがわからなくなる。
ついには、2人のリズムがずれて……。
「わっ!!」
体が前へと倒れていく。
その倒れる直前で……──健くんに支えられて、なんとか倒れずにすんだ。
「ごめん茉白ちゃん!大丈夫!?」
「大丈夫なわけねぇだろクソ猿!お嬢になにしてくれてんじゃボケェ!」
健くんの声が聞こえて、『大丈夫』と言おうとすれば、わたしより先に声を出した──碧。
ふと横を見れば、碧と里古さんがいた。



