お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「茉白ちゃん」


名前を呼ばれて、はっと我に返った。


いけないいけない。
思わずじっと見ちゃってた……。




「……やっぱり、俺はまだ碧くんには勝てないか」


ぼそっと小さくつぶやいた健くん。
その小さな声は、よく聞き取れない。


「健くん?」


首を傾げていれば、彼は再び口を開いた。


「そういえば茉白ちゃん、夏休み中俺と遊んでくれなかった~」


すぐに思い出したのは、碧が健くんの電話を途中で切ったこと。


あのあと、わたしは健くんに謝罪のメッセージを送って……結局、遊ぶことはなかった。


「茉白ちゃんが碧くんに会えてよかったけど、もっと俺を大切にしてよ。碧くんに電話切られて悲しかったなぁ……。っていうか、もしかして茉白ちゃんと碧くんって同じ家に住んでたりする?」


そう聞かれてドキッとする。

……碧と一緒に住んでる、ということはそういえばまだ健くんにも言ってないっけ。
健くんは、わたしの家がヤクザだってもうわかってるし……一緒に住んでることくらい言っても問題ない、のかな。