「あたしが男になる!だから茉白と出てもいい!?」
ピシッと手をあげたのは、凛ちゃん。
でも、そんなものは許してもらえるわけもなく。「だめに決まってんだろ~」と軽く流されて終わった。
「茉白~!」
「凛ちゃん……!」
ぎゅうっと凛ちゃんに強く抱きしめられる。
……悲しいけど、仕方ない。
ルールを変更することなんてできないから、頑張るしかないんだ。
そう思っても悲しくて、心の中で泣いていれば。
「おっは~」
聞こえてきた明るい声。
声のしたほうへと目を向ければ、そこにいたのは健くんだった。
夏休み明けに、はじめて見た彼。
朝学校に来ていなかったから、お休みかと思ったけど……遅刻だったみたい。
「俺ここの競技なんだってね?みんなよろしく~」
その声に、わたしは目を見開く。
健くんが、一緒の競技……!
二人三脚だったんだ!