お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



気を抜いたのか、数歩足が前に動いてプールに躓き……。


──バシャーン!
と、音をたてながら彼はプールのほうへと体を倒した。



「……お嬢、なにか企んでるとは思いましたけど、やりましたね」


碧の服もズボンも濡れて、髪も少し濡れてる。
彼が履いていたビーチサンダルは、水面に浮いた。


水に濡れて、キラキラ輝いて見える彼。
濡れると、色気も増しているような……。


「碧もまだまだだね」


作戦が成功したことが嬉しくて、ふふっと笑みがこぼれる。


「……俺が気を抜くのはお嬢の前でだけです。ほかのやつにはこんなことさせませんよ」


彼は体を起こすと立ち上がろうとして……わたしは慌てて彼の前にしゃがみこんだ。






そして、碧に近づいき……。
着ているTシャツを少し引っ張って、見えた骨ばった鎖骨。


そこに、自分の唇を押し当てた。
わたしがさっきされたように、ちゅうっと吸いつく。


必死に吸いついて、離れて。
赤い痕がついたか確認。


見ると、本当にうっすらではあるが……無事に痕をつけることができた。




「……仕返し」


小さくつぶやく。