お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「……ねぇ、碧」


声をかければ、「なんですか?」と返事をしてくれる彼。


「一条組の組長さんは……大丈夫なの?」


わたしが最後に聞いたのは、一条組の組長さんが意識が戻らず植物状態になってしまったということ。
血だらけの姿もこの目で見てしまったから、すごく心配だった。




「……一条組の組長は、残念ですがまだ意識不明の状態です」


碧は少しトーンを落として、そう返す。


「……そう、なんだ」
「きっと大丈夫です。目を覚ましますよ」


「……うん」
「そんな顔しないでください」


碧は座ったまま、浮き輪の紐を引っ張って。
わたしを引き寄せると、むにっとわたしの頬を優しく引っ張った。


「久しぶりに餅ほっぺに触った気がします」


彼はなんだか楽しそうにわたしの頬を触って遊ぶ。
……碧の頬だって、柔らかかったから餅ほっぺじゃんか。


「可愛いですね」


ムッとしていれば頬に触れていた手は頭の上に移動して、よしよしと撫でられる。

なんか、子ども扱いされてる?