お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



声のしたほう──襖のほうへと目を向ければ、見えた翔琉さん。
襖は開けっ放しで、目が合った。


現在、わたしが碧の上に乗っていて、彼の服の下へと手を滑らせているという状況。
……なにか誤解されても、おかしくない。


「ちがう!!なにもしてない!!本当になにもしてない!!碧と遊んでただけだよ!!」


全力で碧の胸を押して、起き上がるわたし。
碧と離れて、即座に正座。


「仲がいいのはいいことです。それより……碧」


翔琉さんはわたしに向けてにこりと笑うと、次に碧に視線を向けた。


「外に用意させてるプールはいったいなんだ?病みあがりなのに入る気なのか?」


……プール?
なんのことだろうか。


「水はあんまり冷たくすんな、って言ってあるから大丈夫」


碧は起き上がりながらそう答える。


話がよくわからない。
なんでプール?
プールって、ビニールプール?買ったの?


「おまえ、そのプールにお嬢も──」
「お嬢と俺はこれから夏を満喫するんだよ。邪魔すんなよ、翔琉」


そう言うと碧は立ち上がり、わたしへと手を差し伸べる。
これは、立てってことだろう。



わたしはその手をとって立ち上がり、碧へとついて行った。


まさか今日、水着を着ることになるなんて……この時はまだ思ってもいなかった。