お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「ちがっ……!」


顔を上げれば至近距離で合う視線。

そして、この近い距離で思い出すのはやっぱり、碧とキスした夢のことで……。


心臓が加速して、顔が熱くなる。
そんなわたしの顔を見た碧は。


「可愛いですね」


微笑んで、さらに強く抱きしめてくる。
……結局は、わたしがドキドキさせられてばかりだ。


碧は鋭くて、わたしより1枚も2枚も上手。
……勝てる方法はあるのだろうか。


彼はちっとも離してくれなくて、動けない。
嫌というわけではないけど……密着して、ドキドキしすぎて、いろいろやばい。


っていうか、わたしが上に乗ってて重いんじゃ……。


「起きる……」


起き上がろうとするが、背中にまわった手を解いてくれないから動けない。


「お嬢は俺を押し倒してなにをしたかったんですか?なにか気になるなら、好きなところを好きなだけ触っていいですよ」


彼は目を合わせたまま、やけに楽しそうに笑う。


わ、わたしは、ただ碧を押し倒してドキドキさせて、意識させたかっただけで……。
触る、とかは……。

いや、でも、触ったらドキドキしてもらえるのかな……。


そんなことを思ったわたしは、大胆に碧の服の下へと手をゆっくり滑らせた。


──その時に。








「お嬢、碧はこちらに──」


翔琉さんの声が聞こえてきて、途中で不自然に言葉が切れる。