お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



これで倒れる、かと思いきや……ぜんぜんうしろに倒れる気配はなし。


「どうしました?」


碧はさらに不思議そうな表情をして、わたしを見てくる。


「……ううん、なんでもない」


そう返して、わたしはもう一度チャレンジ。
今度は強めに彼の肩を押す……が、ぜんぜんびくともしない。


……いったい、どうなっているのか。
まさか……腹筋!?
腹筋を使ってうしろに倒れるのを耐えてるの!?


3回目、今度は全力で彼の肩を押した。
そうすれば、うしろに倒れてく彼の体。


やったぁ、なんて心の中で喜んでいると、手をつかまれて。
引っ張られ、わたしの体も一緒に倒れていく。


途中でとまることもできず……。
倒れたのは、碧の上。




「ご、ごめ──」


慌てて起き上がろうとすると、背中にまわる手。
その手はわたしを強く抱きしめて、離さない。


「お嬢、そんなに俺を押し倒したかったんですか?」


わたしのしたかったことは彼にはお見通しのようで、笑われる。