「そんなことより!なに勝手に通話切って──」
「連絡とってたんですか!?」


わたしの声は大きな声によって遮られた。
あまりにも真剣な表情で、ずいっと顔を近づけてくるから……


「……たまに」


小さな声で答える。
それを聞いた彼は。


「まさか、休日に会ったりしてませんよね!?」


さらに顔を近づけてきて、次の質問。


……休日?
健くんとは、夏休みに一度会ったよな……。


「……会った、よ?」
「2人でですか!?」


「り、凛ちゃんも一緒に宿題やってて……。翔琉さんも、少し離れたところから見守ってくれてたよ……」
「…………」


なぜか、急に黙り込む彼。


っていうか、すごく近い。
碧の顔が至近距離にあって、つい思い出してしまうのは……碧とキスした、あのこと。

あの夢、だけど。


心臓が加速して、暴れ出す。


「離れて……っ!」


碧の胸を強く押した。
そうすれば彼はわたしの手を離してくれて。




「……俺が留守の間、俺のこと忘れてあのクソ猿のことばかり考えてたんですか?」


今度は、元気のない表情で、小さな声で聞いてきた。