柔らかい感触。
あつい熱。


……それを感じたのはほんの一瞬。

両肩をつかまれ、強引に離された。





「なにしてんだよ……!」


碧はすごく驚いた表情。
そのすぐあとに、わたしの唇を自分の袖でごしごし拭く。


「超ド級のアホか!!大バカかよ!!」


彼の手をとめようとするが、とめられず。
ごしごし拭かれるせいで、唇はヒリヒリ。


「口洗いに行くぞ!!」


起き上がって、わたしの手を引っ張ってくる彼。


「……やだ」
「やだじゃねぇよ。こういうのは好きなやつとするもんなんだよ!おまえはもっと大切にしろ!」



……碧は、情報屋の彼女でもない女性とキスしたくせに。
わたしに一度キスしたくせ。


わたしは……碧が好きだもん。
ちゃんと好きだもん。
いやじゃないもん。


……ほんと、碧はいつもわたしの心を乱してばかり。
ムカつく……。


ほんと、ムカつく。







わたしは重い体を無理やり起こして、碧との距離を一気につめて……。



もう一度、重ねた唇。


柔らかくて、あつい。

……頭がクラクラする。