「……そんな約束してないもん」
覚えているけど、覚えていないフリ。
「その小さな脳みそをフル回転させてよく思い出してみてください。絶対約束しましたから」
「…………」
小さな脳みそ、なんて失礼な。
今はわたしのほうが碧より頭いいのに。
「寝ないでください」
体を揺すられるけど、わたしは碧から離れない。この温かさから離れたくない。
「以前、俺が忠告してあげたのにお嬢は警戒心がまったくないです。今この状況で俺に襲われても文句言えない状況ですよ」
「……碧、わたしのこと襲うの?」
「襲う可能性もある、ってことです。だから自分の部屋で寝てください」
「……やだ」
「やだ、ってなんですか。俺に襲われてもいいってことですか?」
「……うん」
頭が痛くて、体に熱がまわっていて。
自分でもなにを言ってしまったのかよくわからなくなる。