お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



彼はふらふらしながら部屋へと入ってきて。
わたしは慌てて再び布団で顔を隠す。


寝ぼけてたかもしれないけど……キス、したんだよね。
どんな顔で碧の顔を見たらいいのかわからない……。


「……俺が運ぶ」


すぐ近くで声が聞こえたそのすぐあと。


急に布団の中に手が滑り込んできて、背中と足に添えられた手。
次の瞬間には……体が浮いた。




どうやら、布団ごと抱きかかえられたようだ。


「碧!そのふらふらな体でなにしてんだ!」
「……お嬢は俺のだから、俺が運ぶ」


「早くおろせ!お嬢が落ちたら危ないだろ!」


翔琉さんが必死にとめようとしてくれているが、わたしはおろされることはなく。
運ばれていく。


抱きかかえられていてもよくわかる。
碧は、ふらふらしてる。

……自分も熱なのに。


わたしは布団から顔を出して、碧を見上げた。


熱のせいで赤い顔。
……絶対、無理してる。



「碧……自分で歩く」


声を出せば、こちらに気づいてくれる彼。