お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「碧くんといるところずっと見てないし……組関係でなにかあった?」
「…………」


「当たりだ」


黙っていれば、すぐに当てられてしまう。
……健くんは、エスパーかもしれない。なんでこんなにわかってしまうんだろう。
……鋭すぎでは?


「友だちなんだから、なんでも俺に相談してよ。悩みってのは人に話せば少しくらいは楽になれるもんだよ」


目の前の彼は優しく微笑んでくれる。


……優しい。
……でも、あの襲撃事件のことはだれにも言わないほうがいいのかもしれない。

それに、言ったところで碧たちがいつ帰ってくるかなんて健くんにもわからないし……。


「茉白ちゃん、今度電話してもいい?」


急に変わる話。
どうして急に電話、なんだろうか。


健くんの考えていることがよくわからなくて首を傾げていれば。


「……ごめんね。言いたくないことも言えないこともきっと山ほどあるよね。
だから楽しい話でもしようか。茉白ちゃんがいつまでも暗い顔してるのいやだからさ」


そう言ってくれた。


……健くんはどこまでも優しい人だ。
無理に聞かないでくれて、わたしのこの暗い気持ちを明るくしようとしてくれている。