お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



思わず足がすくんでしまうような圧。
ドクドクと心臓が動き、やけに大きく音が聞こえてくる。


目を逸らすこともできなくてただ固まっていれば、わたしの手を包む大きな手。


温かい体温が伝わってきて、恐怖が一瞬で消えた。

わたしの手を握るのは──碧。




「あの子は娘の茉白だ。おまえが会ったのは確か……茉白が3歳の時だったか。だいぶ大きくなっただろう?」


お父さんはこちらまでくると、わたしの肩にぽんっと手を置く。


「そうだな」


短い返事が聞こえてくると、如月組の組長さんはまわりに指示を出して。

靴を脱いで、どんどん建物の中へと入っていく。


「そんなに怖がらなくて大丈夫です。あの方は威圧感はすごいですが、悪い人ではありませんよ」


碧はそう言うとにこりと微笑む。


「……うん。ありがとう、碧」


こくりとうなずいた直後。
お父さんの前で碧と手を繋いでいるということを思い出し、わたしは慌てて彼の手を振り払う。


「行くぞ」


それを見たか見ていないかわからないが、お父さんは鷹樹組の組員に指示を出して。

わたしたちも、建物の中へと足を進めた。