お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



そう言った碧。
手を伸ばして、きゅっと袖をつかむと彼はまた口を開いた。


「今まで隠していた理由もそれが不安だったからです。お嬢の心はとっても純粋で綺麗ですからね。
できることならお嬢には綺麗なものばかり見て、美味しいものばかり食べて、健やかに育ってほしかったんですよ」


……それが、碧が今まで隠していた理由。
あまり裏の顔を見せたがらないのは、そう思われていたからだったんだ。


っていうか、わたしの心は碧が思ってるよりも綺麗じゃないよ。


「わたしの心配はしないでよ。碧に隠しごとをされて、知らないことがあるほうが悲しいもん」


じっと碧を見つめる。
でも、彼はなぜか黙り込んでしまって。


その姿を見たお父さんと洋二さんの2人は笑った。






「碧、会合にお嬢を連れていきたくない理由がほかにもまだあるようだな」


にやりと笑う洋二さん。


……まだ、わたしを行かせたくない理由が?
なんだろう、と思いながら碧を見つめると。


「お嬢を連れていくなんて、狼の群れに子羊を放り込むようなものです。危険すぎるので行かせたくありません」


彼はそう返した。