お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「うん。お父さんに──」
「だめです」


なんで一緒に行くことになったのか、説明しようとすると言葉を遮られた。


「お嬢は家でいい子にお留守番していてください」


強めに言われる。

そんなに自分の若頭の顔を見せたくないんだろうか。


「……やだ。絶対一緒に行くもん」
「だめです。お嬢はお留守番です」


「もう行くって決めたし、行く準備もしたもん」
「早く着替えて片付けてください。お嬢は会合に絶対連れていきません」


「やだ」


べーっと舌を出せば、碧はわたしの右頬をむにっと引っ張った。

強く引っ張られてるわけじゃないから痛くはないけど……こんなことされたって絶対行くもんね。


「いい子にしててください」
「やらっ」


「やだじゃありません。お嬢はあんなところに連れて行けないんです」


反対の頬も同じように引っ張られる。
そんなことをされていると、聞こえてきた足音。





「あんなところって、失礼なやつだなぁ」


笑い声も聞こえてきて、声のしたほうへと目を向ければ、そこにいた2人。


黒い和服にグレーの羽織を着たお父さんに、黒服姿の碧のお父さんである洋二さん。