お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「ありがと」


ちらりと彼を見上げれば、距離が近くて心臓がドキドキと鳴る。


切れ長の目に、すっと通った鼻筋、きれいな黒髪。
やっぱり、碧には黒髪がよく似合う。朝の金髪は本当にびっくりしたよ。


っていうか、碧、また背が伸びたような……。
初めて会った時はわたしと同じくらいの背丈だったのに、どんどん抜かされていく。

今はいったい何センチ差なんだろう。
まだまだ成長期だろうから、伸びるんだろうなぁ。


そんなことを考えていれば、ガタン!と急に大きく揺れる電車。

わたしはぼふっと碧の胸に顔を埋めるかたちでぶつかってしまった。


「ご、ごめん」


慌てて距離をとろうとすれば、横髪が引っ張られて。
離れられない。


何かと思い見てみれば……彼の学ランのボタンにわたしの髪が絡まってしまっていた。


な、なんと!


「ごめん、髪結んでくればよかった……」


わたしの髪は胸元まである。
満員電車なら邪魔になる可能性もあるし、結んでくればよかったと後悔。