お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



ちゃんと教えてくれない。

だ、だから、好きなところってどこなのさ……!
ほ、本当に唇にするつもりなら……なんで!?


「ちょ、ちょっと、待ってほしいな、なんて……」


逃げるためにさらにうしろへとさがれば、碧は距離をつめてくる。
だからさらにうしろへとさがって距離をとれば、襖に背中がぶつかった。


「待ちません」


碧はわたしの頬に触れて、再び顔を近づけてくる。


……だ、だめだ、逃げられない!
わたしのファーストキスが……っ!


碧とキスするのはいやってわけじゃないけど!
そういうわけじゃないけど!!


……なんでキスをしたいのか、碧の気持ちを先に知りたい。
こんな、気持ちがわからないままキスするなんて……そんなの……。





どんどん近づいてくる整った顔に、ぎゅっと目を瞑った。




そして──すぐに唇にちょんっと触れたもの。









触れたのは、柔らかいものではなかった。
小さいもので……明らかに唇では、ない。