お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「へ ……」


思わず間抜けな声が出る。


「約束は約束です」


彼の手が伸びてきて、頬に触れた大きな手。
碧の手は熱くて、ドキッと心臓が大きく跳ねた。


確かに、約束は約束。
今さら破るわけにはいかない。だから、ちゃんと大人しくしてよう……。


あ、碧の好きなところってどこだろう……。
よく、餅ほっぺって言われるからやっばりほっぺかな……。


く、口はさすがにないよね!口は……!
碧がそんな、わたしとキスしたいとか……きっと思ってないだろうから。



碧は膝立ちになると、顔を近づけてきて……。



距離が近づくたびに……なんとなく、気づいた。
碧は、頬にキスするつもりじゃない。







今、キスされそうになっているのは……唇だ。


わたしは少しだけうしろにさがって、碧と距離をとる。


「ま、待って、碧、き、きす、どこに、するつもり、なの……」


びっくりして、上手く話せない。


聞いたのは、ちゃんとどこにするのかを確かめるため。
唇に……なんて、気のせいかもしれないし。


彼の胸を少し押せば、



「俺の好きなところです」

碧はただひと言答えた。