翔琉さんは走って髪色戻しを持ってきてくれて。
わたしはそれを受け取り、碧の手を引っ張ってお風呂場へ。


「早く脱いで!髪黒くするの!」
「お嬢、大胆ですね」


「碧のバカ!」


彼は変なことを言うけれど、わたしは負けずに彼の服を脱がせて髪を黒に戻させた。


ここまでするのは、高校では絶対に友だちをつくりたいから。


小学校、中学校とヤクザの家のことがバレて友だちができなかったけど……高校は、遠くの学校を選んだから家がヤクザなんてきっとだれも知らない。

高校は友だちをつくるチャンスなんだ。


碧とは学校で話さないなんて絶対無理だろうし、碧が悪目立ちすればわたしまで悪目立ちしてしまうこと間違いなし。


やばい人とはだれも関わりたくないと思うし、まわりからまた避けられるのは絶対にいやだ。


どうか、いい高校生活が送れますように……。
心の中で強く願った。