本当は今日1日、碧にくっついて徹底的に観察をしたかっけど……仕方ない。
また今度、碧を観察しよう。
そんなことを思いながら歩いていると。
「あれれ?碧じゃん」
そんな声が聞こえてきたかと思ったら、こちらに駆け寄ってきた、パーカージャケットのフードをかぶった若い女性。
碧はピタリと足をとめた。
きらりと輝いて見える、長い金髪。
棒付きのキャンディを手に持っているその女性は、目が大きくて、顔のパーツが整っていて……すごく綺麗。
そんな女性が、碧と知り合い?
年上……に見えるけど。
「ここで会うとか珍しいね。仕事……じゃなさそうか。今日はお休み?」
にこりと笑う女性。
“仕事”って……ヤクザ関係の、仕事のこと?
そういうことを知ってるってことは、ヤクザの関係者?
「そうです。急いでるのでもう行きますね」
碧はそう返すと再びわたしの手をひいて歩き出そうとした、が。
女性は碧の胸ぐらをつかんで、自分のほうへと引き寄せると
──……唇を重ねた。