怖がらずに普通に接してくれるのはすごく嬉しかった。
今まで、わたしがヤクザの娘だと知って怖がる人が多かったから……。


友だちになってくれた人を、消すなんて絶対だめだ。


「友だちだからだめなの!!」


大きな声で返す。


「お嬢とクソ猿は友だちじゃないです」
「友だちなの!!」


もう一度強く言えば、碧は少し口をつぐんで。


「……わかりましたよ。言い合いしてる時間もそんなにないので見逃してやります、今日は」


渋々返事をした。
それを見て笑っている健くん。


「お嬢、あっちに車が来てくれる予定なので行きましょう」


碧はわたしの手をとると、健くんを睨みつけて「クソ猿はここで見張りでもしてろ。そいつら1人も逃がすなよ」と低い声を出す。


「りょーかーい。じゃあね、茉白ちゃん。また学校で」


健くんはやっぱり碧に怯むことなく、ひらひらと手を振ってくる。
わたしも手を振り返そうとすれば、碧が早足で歩き出して。

足を動かし、路地裏を出てた。