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「車をこっちに呼んだので、お嬢は安全のためそっちで帰ってください」
組員との電話が終わると、碧はわたしに言った。
「わ、わたしは大丈夫だよ?碧と帰る……」
「俺はいろいろと片づけがあるので、一緒に帰れないんです」
碧の視線が、苦しそうに息をしながら地面に倒れこむ男性たちと、健くんに向けられる。
その“片づけ”に、確実に健くんも含まれている……ような。
「碧、あのね、健くんは──」
「お嬢にとってクソ猿は有害です。なのになんでそんなに庇うんですか。あいつのせいで自分が危険目にあったばかりなのに」
碧の瞳がわたしを捉える。
碧がわたしを心配してくれている、というのはわかる、けど。
なんでも暴力で解決しようとすることはやっぱりよくない。
有害だから消す、という考えは間違っている。
危険に巻き込まれたけど、健くんはわたしのクラスメイトで、友だちなんだ。
ヤクザの娘だとわかっていて怖がらずに近づいてきて……興味本位だと思うけど、わたしと一緒にいたら楽しそう、って思ってくれた、友だち。



