お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「なに言ってんじゃクソ猿、今ここで消すぞ」
「俺、本気で茉白ちゃん気に入っちゃった。だから碧くん、俺に茉白ちゃんちょうだいよ」


わたしも耳を疑ってしまうような言葉。
急に、健くんはとんでもないことを言い出した。にこりと笑いながら。

き、気に入った、ってなに!?


「あぁ!?なに舐め腐ったこと言ってんじゃ猿!!」
「茉白ちゃんはヤクザと暴走族、どっちにいても危ないんだからさ。俺が茉白ちゃんを責任もって一生守るよ。だからその護衛役、俺と交代して?」


その言葉で、碧の限界は頂点に達した。
拳を振り上げて。


「碧……っ!!」








殴る、かと思って大きな声を出せば──……健くんに拳が当たる直前でピタリととまった碧。


「あーあ。碧くんが大きい声出すから気づかれちゃったじゃん」


健くんの声と同時に、足音が聞こえてきて振り向けば……。

そこにいたは、ガラの悪そうな男性6人。


「ちょこまかと逃げやがって」


6人組がにやりと笑うと、さらに聞こえてきた足音。


今度は前方を見れば、さらに4人の男性がいた。


「あいつらにも連絡しろ!一斉にかかるぞ!」


1人の男性がそう言えば、ほかの人がスマホを操作して電話をかける。

……“あいつら”というのはあの男性たちの仲間だろう。
きっと仲間を呼んでいるんだ。