お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。






午前10時、碧がバイクに乗れることを知った。

わたしのお父さんが若い頃に乗っていたバイクを譲り受けたんだとか。


譲り受けたわりにはとてもきれいな黒のバイク。
ちゃんと手入れしているんだろう。


わたしは聞いたことを自由帳にメモして、ものすっごく下手ではあるけれどバイクの絵もしっかりと描いた。


碧も起きたことだし、絵で記録するんじゃなくてもう写真でもいいかと思ったんだけど……やっぱり自分の目で見たものを感じたままに描いておくのもいいと思って今日1日絵を描くことを決めた。

……バイクを描くのって、ものすごく難しい。


「碧、バンザイして!」


描き終われば、碧をじっと見る。
彼は頭の上にはてなマークを浮かべながらも手をあげてくれて。
わたしは、さっそく彼が着ている黒のパーカーをめくって、ズボンの右ポケットへと手を突っ込んだ。


こうしたのは、荷物検査をするため。

なにか変なものを持っていないか、チェックだ!


「あ、お嬢、だめです」


とめられそうになるけれど、入っていたものをつかんで、全部出す。
出したものをすぐに取り上げられそうになったが、後ろを向いてガード。


つかんだものを見れば……目を疑った。


右ポケットに入っていたものは、2つ。
折りたたみのお財布と……箱に入った、タバコ。