「ありがとうございます。残りは一生大切に飾ります」


嬉しそうにクッキーを見て、小袋のリボンを結ぶ。


「飾るの?……あ、もしかして美味しくなかった?わたしまだ味見してなくて……お腹壊しそうなら返却可能、です」


ふと『お嬢が作ったクッキーなんてだれかが食べたらお腹壊しますよ』なんてさっき言われた言葉を思い出して。
わたしは、ここにクッキーを置いてくださいという意味で両手を前に出した。


「すみません、さっき言った言葉はただの意地悪です。
このクッキーは、本当はすごく美味しかったです。それはもう、今まで食べたなによりも、最高に美味しかったですよ。
これはお嬢が俺にくれた、はじめての手作りなので……飾っておきたいと思っただけです」


クッキーは返却されることはなく。
嬉しい言葉が聞こえてくる。


美味しかったなら、よかった。
わたし1人では作れないから、美味しくできたのは翔琉さんの指導のおかげ。