お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。



「そう思ってくれているなら、やっぱりクッキーを渡してあげてほしいです。これできっと仲直りできますよ」


にこりと笑う翔琉さん。
わたしはこくんとうなずいて、台所を出る。


同じ家にいれば、探さずともわりとすぐに会うもので。
すぐに碧とバッタリ会った。


「お嬢、クッキーは無事に焦げましたか?──って、ちゃんとできたんですね」


わたしが手に持っているクッキーを見て、そう言った彼。
まるで焦げるのを期待してたというような言い方。ムカつくけど、我慢だ。


「もしかして……だれかに渡すんですか?」


口を開こうとすれば、先にまた碧が口を開く。
ラッピングしてあることにも気づいたようだ。


ドキッと心臓が鳴って、少し緊張。
……気づかれたほうが渡しやすいのかもしれない。


「……うん」


こくんとうなずけば。
なぜか、持っていたクッキーをひょいっと取られた。


「だめです」


彼はそれだけ言うと、すたすたと歩いていく。
……クッキーを持って。