完成した頃に、いつの間にか碧は台所からいなくなっていた。
「お嬢、これを碧に渡してやってくれませんか?」
できたクッキーを何枚か小袋に入れてラッピングすると、翔琉さんはそれをわたしに手渡す。
「えっ」
「なにがあったのかは知りませんが、碧ともう仲直りしてあげてほしいです。碧はお嬢にあんな意地悪をしますが……お嬢に長いこと無視されて結構へこんでるんですよ」
その言葉を聞いて、びっくり。
碧がへこんでる、なんて。
「う、嘘……だよね?」
「本当ですよ。お嬢がいないところでは碧はこの世の終わりみたいな顔してます」
「そ、そう、なの?」
「写真があれば見せたいくらいです。お嬢は……まだ、碧と仲直りしたくないですか?」
「……したいとは思ってる」
本当は……このケンカ、わたしが悪いということはわかっているんだ。
碧はわたしのことを心配してくれているから、『本当のことを教えてください』と何度も言っているし、暴走族に所属している健くんから遠ざけようとしてくれている。
それはわかっていたのに……。
碧はいつもわたしのことを考えてくれていたのに……わたしは碧に隠したいことがあるからと、変に意地を張ってしまった。



